2017年9月 のアーカイブ

動物の食餌について

2017年9月22日 金曜日

今日は暑いですね・・・ただ風がある分、少しはマシに感じます。

風速1mにつき体感気温は1℃下がるそうです。

それでもお昼の散歩は避け、するならば日陰を選ぶか体に霧吹きで水をかけてあげてください。

すぐ屋内に入りたがる院長の小野寺です。こんばんは。

 

今日は僕が考える動物たちへの食餌について書いていきたいと思います。改めて確認するとしっかり書いてある記事が少なかったもので・・・(汗)

少し長くなってしまいますのでまず要約から書きますと…

 

●ペットフードは「総合栄養食」であり、ある生き物が摂食する理想である「完全栄養食」とは定義からして異なるものです。

●食餌にフードを用いる場合には原材料や生産国を吟味して用いましょう。

●僕の考えではフード単独の食餌は動物に好ましくなく、人用に流通している食肉を用いるべきだと思っています。

 

・・・といったところです。ここでいきなり結論・・・といいますか、僕のオススメを書きます。

 

●現在一般フード単独で生活している動物の腸内細菌叢(腸の中の細菌のバランス)は肉食動物本来のものとは大きく離れています。

1ヶ月ほどの時間を使って徐々に人用加熱肉への変更をおすすめします。ただし上限はカロリーの1/2までとします。

与えるお肉の種類は2歳未満ならばササミ、2から7歳ならば皮付き胸肉、7歳以上では腎臓の検査数値に応じて脂肪分を追加します。

 

●現在高品質低穀物フードを用いている場合は大きな変更の必要はありません。

しかし新鮮なお肉を加えたほうが嗜好性が高く安価になる場合があります。1度見直されることをおすすめします。

 

●全て人用食材を用いている場合、気づかないうちに不足しがちな栄養素がカルシウムと、鉄分などの微量元素です。

食事内容に骨関係がなければカルシウム多く含む豆腐を与えたり、鉄関係がなければレバーを加えたり、調理法に「鉄鍋で炒める」を採用することをおすすめします。ただしカルシウムも鉄分も多く取れば取るだけいいというわけではなく、特にカルシウムは膀胱結石の原因にもなりますので適量の給餌が大切です。

高齢で脂肪や油脂が必要な動物では油揚げなんかが適していそうです。
・・・といったところです。

 

食餌は体のすべてを構成する大切なものです。

自身で取捨選択が出来ない「うちの子」のために消化に負担の少ない食事を選んであげて欲しいと思います。

 

 

ここからはかなり僕の独断と偏見を混ぜて「なぜフードを用いない食餌をすすめるのか」を書きたいと思います。

イヌはネコ目イヌ科です。ネコはネコ目ネコ科です。

わざとネコ目と書いてみました。(笑)

ネコ目は食肉目と同義です。分類で言うと

 

イヌは食肉目イヌ亜目イヌ下目イヌ科

ネコは食肉目ネコ亜目ネコ科

です。

イヌは下目があり、ネコにはありませんね。これは分類学上ネコのほうが「原初の肉食動物」に近いからです。

 

イヌは数万年の間、人と生活してきた過程もあり、炭水化物も若干ですが消化吸収が可能です。大してネコは肉以外が入ってくることを前提としていない胃腸しか有していません。

 

食物を分解するには食物を分解する酵素が必要です。

ただし哺乳類は草(セルロース)を分解する酵素を生成できませんので完全草食獣である牛や馬は微生物の力を借りてタンパク質やアミノ酸に分解させ、そこからエネルギーを吸収する方法をとっています。(牛では前胃、馬では盲腸ですね)

 

人間のような雑食類はデンプン・糖類などを分解する酵素を多く有しています。

これは、雑食中の主食がリスクなく採取できる木の実や果実であったことに由来していると言われています。

 

これに対し、食肉目の動物はあまり有していません。

自然界において獲物以外を食する機会が殆ど無いからです。

(サバンナオオカミは獲物が全くいなくなる乾季にはウルフプラントというジャガイモの野生種を食べるそうですが・・・)

 

ここでイヌの推奨食餌許容量(小動物の臨床栄養学より)を記載したいと思います。ネコは別の機会で・・・(汗)

代謝可能エネルギー(kcal)・・・・1kg当たり65

水分(ml)・・・・・・1kg当たり65(ml)

タンパク質(g)・・・・1kg当たり24(g)

脂肪(g)・・・・・・・1kg当たり8(g)未満

カルシウム(mg)・・・1kg当たり100(mg)

リン(mg)・・・・・・1kg当たり75(mg)

ナトリウム(mg)・・・1kg当たり25-50(mg)

カリウム(mg)・・・・・1kg当たり55(mg)

マグネシウム(mg)・・・1kg当たり15(mg)

鉄(mg)・・・・・・・・1kg当たり1.4(mg)

銅(mg)・・・・・・・・1kg当たり0.1(mg)

亜鉛(mg)・・・・・・・1kg当たり1(mg)

ヨウ素(mg)・・・・・・1kg当たり0.015(mg)

 

この一覧のポイントは

●イヌは炭水化物をほぼ必要としていない。ネコは更に必要としていない。

というほぼ一点です。

 

このバランスに近い食事内容を模索したのですがどうしても食材が3種類以上必要になってしまいます。

そこで、うちでも馬肉を置いてあるGENMEATさんのサイトにを覗いてみたらかなり近しいお肉があったので、リンクを貼ってご紹介しておきます。

※この中で足りないのは鉄分ですので前述の「鉄のフライパンで炒める」が有効です。

詳しい成分表示は近日中に掲載します。

 

ドッグフードでも探してみたところ近しいのはK9というフードです。これもリンクを貼っておきます。

詳しい成分表示は近日中に掲載します。

 

病院にはこのほか「ジロ吉ごはん」を食品添加物無添加ドライフードとして置いていますが、こちらには人間用食肉を組み合わせて与えてもらいたいですね。

 

僕は獣医師という仕事柄、生まれてすぐの頃から老齢になるまで通して動物を観察することが出来ます。

野生での寿命を過ぎた辺りから動物の活動性はかなり落ちますので、各ライフステージにあった食餌の給餌が大切です。

 

でもみんな、それぞれ好みがあるものです。根比べすれば食べるようになるかもしれませんが、選べる立場の者(飼い主さん)が

色々試してあげるのがいいのかなぁ・・・と思います。

 

当院においてあるフードのラインナップは

 

●これだけでなんとかまかないたい!というかたのための総合栄養食ドライフード「ジロ吉ごはん」

●少し高価だけれどこれだけのほうが好都合!というかたのための「K9ナチュラル」

●質のいい馬肉が使いたい方のための「GENMEAT馬肉パランコ」

●馬肉もいいけど追加が難しいという方のための「GENMEATレバー入り馬肉パランコ」

●各臓器疾患のための「腎臓ケアフード」「肝臓ケアフード」「消化器ケアフード」「アレルギーケアフード」

 

です。

 

あと、どうしても食べない動物用に一般猫缶詰が数種・・・ほんとによく食べます。

大学時代、猫缶をつまみを飲んでいたこともありますが(笑)

 

また最近、新聞記事にて食事回数についての新しい意見がありました。

その記事には「品種改良された小型犬を除けば、犬の食事は週に1回で十分生きていけるようにできている」

「食餌をを1日1回に切り替えることでアレルギー症状の劇的な改善や完治が期待できる」

・・・というものです。

これは動物の食性を考えると十分ありの意見です。

犬は群れで獲物を追い詰め捉えて食事をし、次の獲物を探します。食事の間隔の平均は4~7日ですのでその間消化器は胃に貯めた食餌の消化を徐々に行うことで賄います。犬は「食べ溜め」が出来る動物なのです。

一方ネコはアンブッシュ(待ち伏せ)してネズミのような小型雑食獣を摂食する性質があります。そのため胃は小さく、一気に大量の食餌をすることに適していません。食べ過ぎるとすぐ吐いてしまう理由の一つです。

 

当院でも、食餌の好き嫌いを起こす犬には絶食日を作ることや食事回数を最大2回にすることを提案することはありますが食餌を週1回にすることは今まで提案したことがありません。しかし食餌でアレルギーを起こす場合には励起する出来事(食餌)を減らし、消化管バリアを十分に構成する期間を設けることは理にかなった対応です。

 

アレルギー検査にて明確に食物アレルギーの証拠がある場合、今後試行を考えています。

 

よろしくお願いいたします。

 

小野寺動物病院 小野寺史也