ワクチンについて

2012年7月8日

おはようございます。今日はワクチンについて書こうと思います。

 

先に要約を書きますと

・狂犬病ワクチンは毎年の接種、届け出、鑑札装着までが定められた義務である。

・混合ワクチンは生後約2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、16ヶ月に接種する。

・16ヶ月のワクチン接種後は3年またはそれ以上間を空ける。

・中央区は都市部なので、コアワクチンの接種(狂犬病+5種混合)で十分と考えている。

 

 

病原体への抵抗力をもたせるための薬品をワクチンといいます。

ワクチンを接種することをワクチネーション、

ワクチンを接種する計画のことをワクチネーションプログラムと良います。

当院のプログラムは基本的に犬と猫のワクチネーションガイドライン – WSAVAに則っています。

(リンク先の更に要約されたものはこちら[WSAVA辻本 元]です。)

更に要約すると「生後8から9週に開始し、14から16週までの間に、3から4週ごとに接種する。1歳齢時に再度接種し、その後は3年またはそれ以上の間隔で再接種していく。」ということです。

 

ワクチンには不活化ワクチンと生ワクチンがあります。

不活化ワクチンとは病原体の感染力を完全に失わせたもの、生ワクチンとは病原体の病原性を失わせたもののことです。

混合ワクチンとは不活化ワクチンと生ワクチンが混ざっているワクチンのことで~種混合ワクチンといわれます。

ちなみに狂犬病ワクチンは不活化ワクチンです。

 

不活化ワクチンの接種後の1週間、生ワクチン接種後の4週間は他のワクチンを接種してはいけません。

これは生ワクチン接種後のしばらくの間は、ウイルスを警戒する物質が体の中を漂うためです。

この物質が次に入ってきたウイルス体をすばやくやっつけてしまうためワクチンの効果が得られない可能性があるためのインターバル期間です。

 

混合ワクチンと狂犬病ワクチンは同日に接種が可能です。(接種する部位を変える必要はあります)

これは人間の場合では推奨されている方法ですね。良ければリンクから確認してみて下さい

そもそも混合ワクチンが不活化ワクチンと生ワクチンの混合物なのだから、もう1種不活化ワクチンが増えてもあまり差異はありません。

ただし同日接種した後にアレルギー反応があった場合、どちらが原因かはっきりとは判断できなくはなります。

しかし生まれ年の場合は同日接種しないと法律の定める「90から120日齢の間の接種」がしにくい面もありますね。

 

「アレルギー反応」を書いたのでワクチンアレルギーについても書いておきます。

アレルギー反応はその原因物質の違いから4種類(ⅠからⅣ型アレルギー)に分類されます。

このうちごく短時間(接種後20分で最大)のものを即時型、それ以降のもの(1から72時間)を非即時型もしくは遅延型と呼びます。

アナフィラキシーショックは即時型の代表で、経験上接種直後から5分以内に最大で発生します。このため当院では接種後20分は必ず病院内にいてもらっています。

非即時型の代表的なものは顔面浮腫、掻痒、結膜炎、疼痛で、経験上4から12時間の間に多く見られます。このため当院では午前中のワクチン接種を推奨しています。

(非即時型アレルギーを発症するのが夜中になるのを避けるためです)

9年前の日本小動物獣医師会の調査では,犬にワクチンを接種すると約200頭に1頭で何らかの副作用が見られており,約3万頭に1頭が死亡しています。

 

ワクチンの分類には先に書いた「ワクチン製剤の種類」の他に「そのワクチンが重要か否か」があります。

重要なワクチンをコアワクチンといい、生活環境にかかわらずすべての犬・猫が接種すべきと考えられているものです。

犬では狂犬病、犬ジステンパーウイルス感染症、犬パルボウイルス感染症、犬アデノウイルス感染症1型2型です。

猫では猫汎白血球減少症(猫のパルボウイルス感染症)、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症です。

ノンコアワクチンとは地域や生活スタイルによっては感染リスクが高い場合にだけ用いるワクチンです。

犬ではレプトスピラ菌感染症,パラインフルエンザウイルス感染症など、

猫では猫白血病ウイルス感染症,猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ),クラミドフィラ・フェリス感染症などがあります。

 

ねずみが特に多い地域であればレプトスピラ菌感染症のワクチン接種も考慮されます。(ノンコアワクチンの接種は年1回です)

 

以上がざっくりとしたワクチンの話です。

 

以下が具体的なワクチンの話です。

 

◯狂犬病ワクチンの接種

狂犬病ワクチンの接種は義務ですので毎年接種する必要があります。

中央区では3月1日の接種から次年度の接種とみなされるため3月から6月の間に接種しましょう。

ただし以前の接種後に体調が悪くなったことがある、慢性疾患で継続的に服薬している、15歳を超える超高齢犬である、などの場合には獣医師の判断で接種を猶予できる場合があります。

内服中のお薬がある場合などご相談ください。

 

◯当院のワクチネーションプログラムについて

○ワンちゃんの場合:午前中に来院、接種してください。
接種日推奨日齢は生後50日目、90日目、120日目です。(覚えやすくするために2ヶ月目、3ヶ月目、4ヶ月目と表記する場合が多いです。)

ワンちゃんの場合、90日でのワクチン接種では有効率が70%位ですので120日でのワクチン接種をおすすめしています。

当院でおすすめしているワクチンは共立製薬のキャニバック5です。5種以上のワクチンは通常備蓄していませんのでご希望の際は事前にご連絡下さい。

初年度の最後のワクチンから1年後に、再度ワクチン接種の必要があります。ただ1年目のワクチンを接種した後からは当院では3年に1回のワクチン接種を推奨しています。詳しくはご質問下さい。

 

○ネコちゃんの場合:午前中に来院、接種してください。

接種日推奨日齢は生後60日目、90日目、120日目にワクチン接種を行います。

猫の場合、90日でのワクチン接種で有効率は80%位ですので完全屋内飼い、他の動物との接触がない場合には90日で終了とする場合があります。

当院でおすすめしているワクチンは共立製薬のフェリバック3です。3種以上のワクチンは通常備蓄していませんのでご希望の際は事前にご連絡下さい。

ただし、ネコちゃんが家族になる理由の2番目は拾得ですので、拾得の場合は早めの接種をおすすめするとともに、いるのであれば先住のネコちゃんへの接種もおすすめします。また、外にいたネコちゃんは往々にして外部・内部寄生虫を持っていることがありますので先住の子と会わせる前には必ず健康診断を受けてからがおすすめです。

初年度の最後のワクチンから1年後に、再度ワクチン接種の必要があります。ただ1年目のワクチンを接種した後からは当院では3年に1回のワクチン接種を推奨しています。また、ネコちゃんでのワクチンは悪性腫瘍になる場合がありますので当院では太ももの皮下か腹部の皮下に接種します。詳しくはご質問下さい。

 

以前にワクチンによる副反応(副作用)が出た子に関しては、ワクチン接種前に薬を注射することで副反応を弱めることが可能です。

(必要に応じて提案します、が、ワクチン接種自体をすすめなくなることがほとんどです。リスク回避のためにリスクを負う必要はありません)

 

ワクチン接種前の注射につきましては事前にご相談いただくか、早い時間に来院されてください。

 

よろしくお願いいたします。

 

小野寺動物病院 院長 小野寺史也