動物の食餌について

2017年9月22日

今日は暑いですね・・・ただ風がある分、少しはマシに感じます。

風速1mにつき体感気温は1℃下がるそうです。

それでもお昼の散歩は避け、するならば日陰を選ぶか体に霧吹きで水をかけてあげてください。

すぐ屋内に入りたがる院長の小野寺です。こんばんは。

 

今日は僕が考える動物たちへの食餌について書いていきたいと思います。改めて確認するとしっかり書いてある記事が少なかったもので・・・(汗)

少し長くなってしまいますのでまず要約から書きますと…

 

●ペットフードは「総合栄養食」であり、ある生き物が摂食する理想である「完全栄養食」とは定義からして異なるものです。

●食餌にフードを用いる場合には原材料や生産国を吟味して用いましょう。

●僕の考えではフード単独の食餌は動物に好ましくなく、人用に流通している食肉を用いるべきだと思っています。

 

・・・といったところです。ここでいきなり結論・・・といいますか、僕のオススメを書きます。

 

●現在一般フード単独で生活している動物の腸内細菌叢(腸の中の細菌のバランス)は肉食動物本来のものとは大きく離れています。

1ヶ月ほどの時間を使って徐々に人用加熱肉への変更をおすすめします。ただし上限はカロリーの1/2までとします。

与えるお肉の種類は2歳未満ならばササミ、2から7歳ならば皮付き胸肉、7歳以上では腎臓の検査数値に応じて脂肪分を追加します。

 

●現在高品質低穀物フードを用いている場合は大きな変更の必要はありません。

しかし新鮮なお肉を加えたほうが嗜好性が高く安価になる場合があります。1度見直されることをおすすめします。

 

●全て人用食材を用いている場合、気づかないうちに不足しがちな栄養素がカルシウムと、鉄分などの微量元素です。

食事内容に骨関係がなければカルシウム多く含む豆腐を与えたり、鉄関係がなければレバーを加えたり、調理法に「鉄鍋で炒める」を採用することをおすすめします。ただしカルシウムも鉄分も多く取れば取るだけいいというわけではなく、特にカルシウムは膀胱結石の原因にもなりますので適量の給餌が大切です。

高齢で脂肪や油脂が必要な動物では油揚げなんかが適していそうです。
・・・といったところです。

 

食餌は体のすべてを構成する大切なものです。

自身で取捨選択が出来ない「うちの子」のために消化に負担の少ない食事を選んであげて欲しいと思います。

 

 

ここからはかなり僕の独断と偏見を混ぜて「なぜフードを用いない食餌をすすめるのか」を書きたいと思います。

イヌはネコ目イヌ科です。ネコはネコ目ネコ科です。

わざとネコ目と書いてみました。(笑)

ネコ目は食肉目と同義です。分類で言うと

 

イヌは食肉目イヌ亜目イヌ下目イヌ科

ネコは食肉目ネコ亜目ネコ科

です。

イヌは下目があり、ネコにはありませんね。これは分類学上ネコのほうが「原初の肉食動物」に近いからです。

 

イヌは数万年の間、人と生活してきた過程もあり、炭水化物も若干ですが消化吸収が可能です。大してネコは肉以外が入ってくることを前提としていない胃腸しか有していません。

 

食物を分解するには食物を分解する酵素が必要です。

ただし哺乳類は草(セルロース)を分解する酵素を生成できませんので完全草食獣である牛や馬は微生物の力を借りてタンパク質やアミノ酸に分解させ、そこからエネルギーを吸収する方法をとっています。(牛では前胃、馬では盲腸ですね)

 

人間のような雑食類はデンプン・糖類などを分解する酵素を多く有しています。

これは、雑食中の主食がリスクなく採取できる木の実や果実であったことに由来していると言われています。

 

これに対し、食肉目の動物はあまり有していません。

自然界において獲物以外を食する機会が殆ど無いからです。

(サバンナオオカミは獲物が全くいなくなる乾季にはウルフプラントというジャガイモの野生種を食べるそうですが・・・)

 

ここでイヌの推奨食餌許容量(小動物の臨床栄養学より)を記載したいと思います。ネコは別の機会で・・・(汗)

代謝可能エネルギー(kcal)・・・・1kg当たり65

水分(ml)・・・・・・1kg当たり65(ml)

タンパク質(g)・・・・1kg当たり24(g)

脂肪(g)・・・・・・・1kg当たり8(g)未満

カルシウム(mg)・・・1kg当たり100(mg)

リン(mg)・・・・・・1kg当たり75(mg)

ナトリウム(mg)・・・1kg当たり25-50(mg)

カリウム(mg)・・・・・1kg当たり55(mg)

マグネシウム(mg)・・・1kg当たり15(mg)

鉄(mg)・・・・・・・・1kg当たり1.4(mg)

銅(mg)・・・・・・・・1kg当たり0.1(mg)

亜鉛(mg)・・・・・・・1kg当たり1(mg)

ヨウ素(mg)・・・・・・1kg当たり0.015(mg)

 

この一覧のポイントは

●イヌは炭水化物をほぼ必要としていない。ネコは更に必要としていない。

というほぼ一点です。

 

このバランスに近い食事内容を模索したのですがどうしても食材が3種類以上必要になってしまいます。

そこで、うちでも馬肉を置いてあるGENMEATさんのサイトにを覗いてみたらかなり近しいお肉があったので、リンクを貼ってご紹介しておきます。

※この中で足りないのは鉄分ですので前述の「鉄のフライパンで炒める」が有効です。

詳しい成分表示は近日中に掲載します。

 

ドッグフードでも探してみたところ近しいのはK9というフードです。これもリンクを貼っておきます。

詳しい成分表示は近日中に掲載します。

 

病院にはこのほか「ジロ吉ごはん」を食品添加物無添加ドライフードとして置いていますが、こちらには人間用食肉を組み合わせて与えてもらいたいですね。

 

僕は獣医師という仕事柄、生まれてすぐの頃から老齢になるまで通して動物を観察することが出来ます。

野生での寿命を過ぎた辺りから動物の活動性はかなり落ちますので、各ライフステージにあった食餌の給餌が大切です。

 

でもみんな、それぞれ好みがあるものです。根比べすれば食べるようになるかもしれませんが、選べる立場の者(飼い主さん)が

色々試してあげるのがいいのかなぁ・・・と思います。

 

当院においてあるフードのラインナップは

 

●これだけでなんとかまかないたい!というかたのための総合栄養食ドライフード「ジロ吉ごはん」

●少し高価だけれどこれだけのほうが好都合!というかたのための「K9ナチュラル」

●質のいい馬肉が使いたい方のための「GENMEAT馬肉パランコ」

●馬肉もいいけど追加が難しいという方のための「GENMEATレバー入り馬肉パランコ」

●各臓器疾患のための「腎臓ケアフード」「肝臓ケアフード」「消化器ケアフード」「アレルギーケアフード」

 

です。

 

あと、どうしても食べない動物用に一般猫缶詰が数種・・・ほんとによく食べます。

大学時代、猫缶をつまみを飲んでいたこともありますが(笑)

 

また最近、新聞記事にて食事回数についての新しい意見がありました。

その記事には「品種改良された小型犬を除けば、犬の食事は週に1回で十分生きていけるようにできている」

「食餌をを1日1回に切り替えることでアレルギー症状の劇的な改善や完治が期待できる」

・・・というものです。

これは動物の食性を考えると十分ありの意見です。

犬は群れで獲物を追い詰め捉えて食事をし、次の獲物を探します。食事の間隔の平均は4~7日ですのでその間消化器は胃に貯めた食餌の消化を徐々に行うことで賄います。犬は「食べ溜め」が出来る動物なのです。

一方ネコはアンブッシュ(待ち伏せ)してネズミのような小型雑食獣を摂食する性質があります。そのため胃は小さく、一気に大量の食餌をすることに適していません。食べ過ぎるとすぐ吐いてしまう理由の一つです。

 

当院でも、食餌の好き嫌いを起こす犬には絶食日を作ることや食事回数を最大2回にすることを提案することはありますが食餌を週1回にすることは今まで提案したことがありません。しかし食餌でアレルギーを起こす場合には励起する出来事(食餌)を減らし、消化管バリアを十分に構成する期間を設けることは理にかなった対応です。

 

アレルギー検査にて明確に食物アレルギーの証拠がある場合、今後試行を考えています。

 

よろしくお願いいたします。

 

小野寺動物病院 小野寺史也

 

 

 

 

 

 

手術についてのお話

2015年7月6日

なんと!

随分ブログを更新していない自覚はありましたが前回の更新から2ヶ月も経ってしまっていますね。

自分でも呆れるくらいの筆不精ならぬブログ無精…もとい、たんなるサボり魔の院長小野寺です。こんばんは。

 

今回は大分増えてまいりました手術について、どのように行っているか書かせていただきたいと思います。

具体的には局所麻酔と全身麻酔について、お迎えに時間などについて書きたいのが本意です。

今回の記事はピックアップトピックスに載せるので長いですよ?

 

よろしくお願いいたします。

 

よくご相談として受けるものが

「歯の処置がしたいのだけれども年齢が高いので、麻酔すると死んじゃうと言われた」

「小さな皮膚の腫瘍を取るためにも安全のため全身麻酔は必須なので、高額になる」

「全身麻酔って、すると死んじゃうイメージがある」

などです。

 

当然ですが多くの飼主様は麻酔に関しての知識をお持ちではありません。

今回の記事で少しでも適正に嫌悪感を減らし、動物に最もメリットのある処置を選んでいただく一助になれば、と思っています。

以下に麻酔処置と手術について記していきますが、これはあくまで当院の場合のお話と思って下さい。よろしくお願いいたします。

 

そして重要なのははっきりとした定義です。

「リスクもはらむ(全身麻酔)処置は、現在のこの子の不利益を打ち消す価値のあるものなのか」

これは当然僕も念頭に置いて治療していますが、要はデメリットを一蹴するくらいメリットが大きいか否か、がとっっっっっても大切です!

 

さて、では書いていきますねー。

 

麻酔には大きく「全身麻酔」と「部分麻酔」があります。

全身麻酔とは動物の意識が消失した状態を維持し、手術後覚醒させるものです。

部分麻酔とは動物の意識はある状態を維持し、痛みのみを除去して手術を行うものです。

(部分麻酔には麻酔部位の大きさによって手技がいくつかありますが、全て「意識を保つ」ことが重要です。)

動物麻酔にはこの他に「鎮静麻酔」というものがあり、これはザックリ書くと「痛みは感じるけれど血圧が低くてだるくて動けない」状態にしてから手術を行うもので、少々攻撃的な動物の場合に多く提案します。もちろん痛みは感じていますので局所麻酔薬との併用が原則です。

 

 

●部分麻酔手術について

当院では基本的に体表の腫瘤(イボ)摘除の手術は局所麻酔によって行います。15cm位の腫瘤でも可能です。

液体窒素を用いた体表腫瘤の除去は行っていません。良性悪性の診断が非常につけにくくなるからです。

この他にも局所麻酔によって得られるメリットがデメリットを上回ると思われる場合には局所麻酔での手術をご提案させていただく場合があります。

例えば断指手術や口の中に出来たイボの除去、断尾手術は基本的に局所麻酔にて行います。

「歯の処置やお腹を開けたりしない手術はだいたい部分麻酔」と考えていただいて結構です。

 

ただ体表の腫瘤摘除であってもまぶたに出来た腫瘤摘除だけは鎮静もしくは全身麻酔下にて行うことが多いです。

急に動いて眼に針が刺さった場合、全身麻酔下での処置が必要になりますので。

(どうしても飼い主様が希望される場合にはその旨を確認していただいた上で行いますが…)

 

 

局所麻酔手術のメリットはなんといっても動物の意識を消失させないため手術後すぐに帰宅できること。

そのため局所麻酔手術後の引き取りは「午後の診療時間内であればいつでも」とお伝えしています。

午前12時にお預かりして午後3時半にお返しすることが可能です。

デメリットは局所麻酔薬であるキシロカインとブピバカインの副作用(飼主様が気づくようなものはほとんどありません。また、アレルギーに分類される副作用ですので起こした場合には院内での処置となります。)、並びに麻酔持続時間延長効果のあるエピネフリンに反応する可能性(エピネフリンとはアドレナリンのアメリカ表記です。活動的になったり血糖値が上がったりします。)があるということでしょうか。

今まで眼にしたことはありませんが。

(当院では手術後の気にし始める時間を少しでも長くするため局所麻酔薬は短時間型のキシロカインと中長期型のブピバカインを合剤として使用しています。)

 

痛みを伝えるのは神経です。この神経を局所麻酔薬で麻痺させ、その神経の支配領域全てを麻痺させる手技を上位神経麻酔、浸潤麻酔と言います。

先に書きました断指手術も手の甲に麻酔することで無痛で行えます。もちろん目の前にいる人や手を噛んでくる動物には使えませんが、四肢末梢の手術や体表の手術は部分麻酔が基本です。

 

 

●全身麻酔について

全身麻酔を行う手術はもちろん局所麻酔で行う手術よりも多く、局所麻酔手術に記載した手術以外は基本的に全身麻酔によって行います。

動物の意識がない状態で行うため拒絶の反応が一切なく様々な処置が行えます。動物は麻酔中の痛みを感じることなく、覚醒(目を覚ます事)ごに始めて感じます。ただ意識を奪う麻酔の場合、脳の機能の一部を停止させるわけですから色々な「その時起きなくても良い反応」が起きます。

具体的には血圧の低下と心拍数の低下に伴う低体温と血液循環不全、呼吸低下に伴なう低酸素です。

これらの対策として一般的なのは血圧が下がりにくくする薬の併用、心拍数が下がらないように麻酔状態を維持する、低体温にならないよう湯たんぽないしヒートカーペットを使用する、血液量を補うため術中に点滴を行う、低酸素にならないように酸素の供給を行い必要であれば陽圧換気(酸素を肺に送り込むこと)を行う…といったところでしょう。

当院では全て行いますし、やらない動物病院はまずないと思われます。

もちろん手術中の動物の心電図、心拍数、血圧、体温、呼吸状態は確認できるようにしておきます。

当院では全て行いますし、やらない動物病院はまずないと思われます。

 

具体的に記載したいと思います。

まず全身麻酔の準備として術前に麻酔がかけられる状態であるかの血液検査を行います。

若い動物であれば最小限の、老齢動物であれば十分網羅した検査をおすすめします。

最小限検査セットは5000円、院内健康診断セットは13000で可能です。健康診断セットをおすすめするのは7歳以上の犬猫です。

血液検査の異常と体温、呼吸の様子の異常がなければ基本的に手術は可能ですが場合によっては胸部レントゲン、心電図、超音波検査の必要が出てきます。これは症例によりまちまちです。

血液検査で問題がなければ基本的に全身麻酔は可能ですので手術当日の朝ごはんだけは抜いて連れてきていただきます。

連れてくる時間はいつでも構わないのですが動物にとって病院にいる時間はストレスを感じる時間に等しいと思っていますので、なるべく午前の診療時間終了ギリギリが望ましいですね。

 

手術時間になったら(当院では1時から、場合によっては12時から)動物には留置針という血管内に薬を入れやすくする管を入れます。

(猫の去勢ではしないことが多いです、場合によっては剃毛します)

その後、前処置と言って意識を奪う麻酔薬を効きやすく、また量を減らせられる薬を投与します。具体的には痛み止めと鎮静薬、心拍数低下予防の薬です。

その後本麻酔(基本的にはプロポフォール)を投与して意識の消失を確認した上で気管チューブ(滅菌済)を挿管し、人工呼吸を行います。

この後手術しやすい姿勢にし(保定といいます)、ヒートマットによって体温の低下を防ぎながら手術を行います。

もちろん動物の麻酔状態を確認し続けるために呼吸時の麻酔濃度、酸素飽和度(動物が低酸素、すなわち苦しい状態になっていないかの確認)、心拍数、血圧を経時的観測します(モニターする、とも言います)。

手術中は例外なく点滴を行います。(再三になりますが猫の去勢を除きます。)

手術部位が大きくなった場合には術後疼痛を和らげるために中長期型局所麻酔薬を手術部位に注射します。

 

この後、必要な手術を行い麻酔が切れて動物が頭をあげるようになった時点で飼い主さんへの電話報告を行います。

動物の覚醒が遅い場合には入院を勧める場合もあるかもしれません。

(開業から今までは一度もありませんが)

 

当院の去勢・避妊手術は基本的に日帰りです。

飼い主様のご希望であれば入院をする場合もありますが、僕は「動物は一日も安心できない場所に居たくはないはず」と思っていますので去勢・避妊等の手術の場合、基本的に日帰りをおすすめします。一番疲れた夜こそ安心できる場所でぐっすり寝て欲しいんですよね。

また、手術翌日の夕方になっても元気が無い場合には来院をお願いしています。

ああ、あとネコの去勢以外は縫合の糸があるためエリザベスカラーの使用をお願いしています。ネコの去勢でも手術部を舐められると化膿の可能性があるためお願いしています。ちなみにカラーは柔らかく動物のストレスになりにくいものを採用しています。基本的には四日ほど、舐めても傷が開かなくなるまでの使用ですがカラーは一応買い取っていいただきます。

 

手術後の抜糸は1周間から10日後の好きな時間にいらしてくださいとお願いしています。

抜糸でしたら20秒で終わりますし、料金はいただきませんので。

ただし2週間を過ぎると糸を伝ってきたばい菌によって化膿する可能性が高まりますのでご留意ください。

 

全身麻酔を行った動物は可能な限り直前まで様子を見たいので、午後6時以降のお迎えをお願いしています。

 

 

…と、こんなところでしょうか。

 

今回のブログが全身麻酔をかける動物の飼主さんの一助になれば幸いです。

 

中には「この動物は麻酔をかけると死ぬ」と言われている飼い主さんもいるようですし。(短頭種の飼い主さんに多い印象です。)

全身状態が悪く麻酔のリスクが著しく高い動物も中にはいますが、寝て覚めるので「麻酔」といいます。

覚めないことなどないように細心の注意をはらいます。

 

当院で全身麻酔下の処置及び手術を無闇にお勧めするつもりは毛頭ありませんが、

「本当に無理なのか」とお考えの方はご相談いただければと思います。

 

今日こんな感じのブログを更新したのは、ある飼い主さん(初診の方)が切実なお顔で「この子に一番ためになる治療をお願いします」とおっしゃったからです。

「僕は神様ではないのでする処置がいつもベストであると断言はできませんが、少なくとも僕がメリットが上回ると思う治療以外を提案することはありません。」とお伝えしました。

 

嘘にならないように勉強します(汗笑)。

 

ご相談があれば、メールでご連絡下さい。

 

小野寺動物病院 院長 小野寺史也

動物と動物病院との年間スケジュール

2014年9月23日

夜には虫の音が聞こえてくるなど、少しずつ秋が近づいてきているのだなと感じます。 院長の小野寺です、おはようございます。   秋から冬の時期は動物にとって過ごしやすい日が多く、出かけるのも格好の季節です。

 

少し遠い公園やドッグランなどに出かける機会も増えてくるこの時期に健康診断などはいかがでしょうか?

この時期に健康診断をおすすめするにも理由があります。 気温の低下とともに空気が乾燥し、呼吸器系の病気にかかるワンちゃんが増えてくるからです。

また、気温が下がると体温を逃がすまいと体の表面の血管が収縮し、結果体の内部の血圧が上昇します。

血圧が上昇すると心臓が働く力が多く必要となり、心臓病が発現・進行するためです。

当院でも軽度の心臓疾患の動物の飼い主様には今年涼しくなってきたら投薬を始めましょうとおすすめしていることもあります。

このように季節的な注意事項やすべきことを表にしてみました。

健康診断の時期も書いてありますが、5歳未満のこの場合は必ずしも年に1回である必要はないと考えています。

逆に10歳を超えるような場合には年に2回実施してもよいと思います。

よろしければ参考になさってください。

 

<猫の場合>

・ワクチンは成猫の場合3年に1回をお勧めしています。

1月…寒いですね。

2月…避妊手術をしていない子の場合、発情の多くなる季節です。予定外の妊娠を避けるよう注意しましょう。

3月…換毛の季節です。毛玉をよく吐く子の場合、猫草を置いたり毛玉予防サプリメントを給餌して毛玉に備えます。

4月…換毛の季節です。毛玉をよく吐く子の場合、猫草を置いたり毛玉予防サプリメントを給餌して毛玉に備えます。

5月…換毛も落ち着き、過ごしやすい時期です。思い思いの共生を楽しんで下さい。

6月…過ごしやすい時期です。思い思いの共生を楽しんで下さい。

7月…徐々に暑くなる時期です。扇風機・エアコン等を用いて室内の気温が暑くなり過ぎないように留意します。

8月…暑くなる時期です。扇風機・エアコン等を用いて室内の気温が暑くなり過ぎないように留意します。

9月…暑さが残る時期です。扇風機・エアコン等を用いて室内の気温が暑くなり過ぎないように留意します。

10月…外に連れ出してもストレスの少ない時期です。健康診断をお勧めいたします。

11月…換毛の季節です。毛玉をよく吐く子の場合、猫草を置いたり毛玉予防サプリメントを給餌して毛玉に備えます。

12月…空気が乾燥し、猫伝染性鼻炎にかかったり、症状がひどくなる時期です。屋内の湿度と気温に注意しましょう。

 

<犬の場合>

・ワクチンは成犬の場合3年に1回をお勧めしています。

1月…犬伝染性喉頭炎にかかったり、心不全の症状が悪化しやすくなる時期です。屋内の湿度と気温に注意しましょう。

2月…犬伝染性喉頭炎にかかったり、心不全の症状が悪化しやすくなる時期です。屋内の湿度と気温に注意しましょう。

3月…ダブルコートの犬種の子の場合、換毛の時期です。皮膚疾患の対策をしましょう。狂犬病のワクチンは3月初旬から有効です。

4月…狂犬病の葉書が行政から届く時期です。集団接種や病院で狂犬病予防接種を受け、登録をしましょう。

5月…フィラリア・ノミ・ダニの予防開始時期です。病院でフィラリアの検査を受け、ご希望によっては健康診断の検査も同時実施が可能です。

6月…フィラリア・ノミ・ダニの予防開始時期です。病院でフィラリアの検査を受け、ご希望によっては健康診断の検査も同時実施が可能です。

7月…徐々に暑くなる時期です。散歩時には気温に注意し、熱中症に気をつけるよう留意してください。

8月…本格的に暑くなる時期です。散歩時は気温とアスファルトの温度に注意し、肉球のやけど・熱中症に留意しましょう。特に短頭種の場合は散歩を控えた方が望ましいです。また、エアコン等により室温にも注意が必要です。

9月…暑さが残る時期です。特に短頭種の場合注意し、エアコン等による室温への注意が必要です。

10月…外出しやすい時期です。遠出に備えたり寒くなる前に健康診断を受けることをおすすめします。

11月…ダブルコートの犬種の子の場合、換毛の時期です。ブラッシングの頻度をあげたり、皮膚疾患の対策をしましょう。

12月…空気が乾燥し、犬伝染性喉頭炎にかかったり、症状がひどくなる時期です。屋内の湿度と気温に注意しましょう。

 

無理やり埋めたので文章が重複していますね(汗)

お伝えしたい大切なことは

●春と秋は換毛があるので皮膚対策しましょう!

●3,4月に狂犬病ワクチンを接種しましょう!

●混合ワクチンは3年に1度なので当院からの葉書をきっかけにワクチン時期を確認しましょう!

●7歳位以上の動物は年に1回の健康診断をしましょう!せめて顔を見せてください(笑)

●動物の多くは日本の寒暖差に適応していません。何かあれば相談してください!

 

以上です。よろしくお願いいたします。

 

小野寺動物病院 院長 小野寺史也

動物の中性化(避妊・去勢)のお話

2014年9月16日

半袖では肌寒く、もう一枚着ていると少し暑い。

長袖Tシャツやシャツ一枚でちょうどいい季節になってきました。

とても過ごしやすい気温ですね。小野寺動物病院の小野寺です。おはようございます。

 

 

気温が落ち着き、夏の間は控えていた避妊手術や去勢手術をお考えの飼い主様もいらっしゃるかと存じます。

今日はそれら中性化手術(性をなくす手術の意味で、メスの中性化手術=避妊手術・オスの中性化手術=去勢手術)について書いていこうと思います。

 

 

ではまずは結論です。(笑)長くなりますので。

 

●中性化手術は、繁殖の可能性がない動物において性関連トラブルの回避、性関連ストレスの低減に有用である。

●主なデメリットは麻酔による事故の危険性、手術による事故の危険性、性ホルモン欠乏による肥満傾向の発現である。

●最終的な判断は飼い主様に委ねられるが、「しない選択」をした場合には性関連トラブル(メスでは特に子宮蓄膿症と偽妊娠、

オスでは前立腺炎・付随する膀胱炎と会陰ヘルニア)を常に注意しておく必要がある。

 

…といったところでしょうか。普遍的な事柄を書いたので曖昧な表記、ややこしい文言になってしまっています。

 

以下に説明していきたいと思います。

 

その前に僕の基本姿勢について

●動物の寿命、特に健康寿命を延長することが最も大切である。

●飼い主様と動物とが楽しい豊かな時間を過ごすことが次いで大切である。

●基本的に飼い主様の意見を尊重するが、自身の知識・経験に基づいたことについては助言・提言をする。

 

このようなことを書くのは、中性化手術は動物のためにすることであり、決して飼主様のためだけや、ましてや病院のために

してもらうものではないからです。(病気の危険性が少なくなるという意味で病院のためでもありますが)

 

性関連トラブルや性ホルモンのストレスによる体内の変化が少なくなることで、寿命の延長効果が期待できるからお勧めしています。

 

全身麻酔について(詳しくは同じくピックアップトピックス「手術について」を御覧ください。)

・全身麻酔は数種類の薬剤を組み合わせて脳を麻酔下状態にすることで、無意識のうちに手術や処置を行うものです。

・全身麻酔を行う上で明らかな危険がないかは主に血液検査、レントゲン検査、心電図検査などで調べられます。

・若く健康な動物の場合、血液検査のみで手術の計画を立てる場合もあります。

・麻酔中は呼吸を管理し、同時に血中酸素飽和度、心拍数、血圧、体温などを測定することで動物の異常を素早く感知できるように気をつけます。

 

オスの中性化手術(去勢手術)について…精巣を摘出することで、精子の形成を永続的に阻害する手術です。

メリットとしては

・オス特有の病気になる確率が下がる。(精巣腫瘍、前立腺肥大症(犬)など)

・メスの発情への執着が少なくなる。

・繁殖を避けることが出来る。

・攻撃性の低下、マーキング、マウンティングの減少が期待できる。(全くなくなる場合はまれ)

※潜在精巣(袋に降りてきていない精巣)はちゃんとおりている物に比べ100倍腫瘍になりやすいです。若いうちに必ず!といった

手術ではありませんが、摘出を強くおすすめいたします。精巣腫瘍は組織学的には全て悪性ですので。

 

デメリットとしては

・ホルモンバランスが変化することで肥満になりやすくなる。

 

メスの中性化手術(避妊手術)について…卵巣単独もしくは卵巣と子宮両方を摘出することにより妊娠を回避する手術です。

 

メリットとしては

・メス特有の病気になる確率が下がる。(卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、子宮蓄膿症など)

・発情のストレスが回避できる。

・発情時の出血が回避できる。(犬)

・偽妊娠によるストレス、乳汁漏出が無くなる。

デメリットとしては

・ホルモンバランスが変化することで肥満になりやすくなる。

・尿の持続失禁が見られる場合がある。(主に卵巣子宮両方を取った場合)

 

特に犬において、避妊手術の時期と乳腺良性腫瘍の発生は相関関係が認められています。

 

初回の発情の前に避妊手術を受けた場合の乳腺良性腫瘍の発生率は約0.5%、初回から2回めまでの間では約8%、2回目と3回目の間では約26%です。この結果に限って言えば手術は早いほど良いですし、子宮蓄膿症について言えばいずれの時期であっても手術したほうが発生する確率を減らすことが出来ます。

 

メスの中性化手術には卵巣摘出術(卵巣のみを摘出する)と子宮卵巣全摘出術(子宮と卵巣両方を摘出する)とがあります。

当院では主に卵巣のみを摘出する方法を推奨・実施しています。

 

メリットとしては

・術創(手術の傷)が小さく、痛みによるストレスが少ない。

・お腹の中に残す糸が最小限で済む。

・手術時間が短く、術中麻酔障害(麻酔時間が長いことによる体温の低下・神経障害など)が少なくて済む。

・術後合併症(手術後に見られる、手術に起因する障害のこと。尿失禁、腹腔内肉芽種の形成など)が少ない。

 

デメリットとしては

・将来的に免疫不全を起こす疾患(糖尿病・副腎疾患・免疫介在性疾患・猫白血病(猫)・猫エイズ(猫))になった場合、子宮蓄膿症になる可能性がある。

 

上記のメリット・デメリットを比較した時に、僕はメリットが上回っていると思いますので卵巣のみの摘出を推奨しています。

もちろんご希望であれば子宮と卵巣両方を摘出する手術も可能ですのでご相談いただければと思います。

 

 

さて、よく耳にするご意見として「自然のままの姿でいさせてあげたい。」というものがあります。

こちらももちろん考え方の一つですし、尊重されるべきだと思います。

 

ただ、伴侶動物としての小動物はそもそもとして少々不自然な環境であることを思い出してほしいと思います。

オスであれば射精までのプロセスまでが自然における役割ですので身体的に不自然なことはありません。

しかし、メスの場合は妊娠、出産、授乳までを含めて自然で経験すべきプロセスです。これを繁殖学用語で完全生殖周期といいます。

(実際は発情・交配・妊娠・出産・授乳まで)

 

これに対して妊娠せずに発情・偽妊娠しかないものを不完全生殖周期といい、体にとってはストレスにしかなりません。

実際に2回の出産を経験した場合は、出産経験のない同年の動物と比較してメス特集の繁殖疾患にかかる確率が明らかに少ないという報告があります。

 

僕はご家庭に今いる動物を治療・予防対象にすべきと考えていますので、結論としては妊娠させない場合には中性化手術を行うほうが

よりメリットが大きいと思います。

妊娠・出産を経験させる場合、今度は生まれた子供の飼主をどうするか、家で前頭飼えるのか、などの問題も出てきます。

このことに対して対策を持ってから妊娠は計画することが望ましいと思います。

 

以上、大まかですが中性化手術に対する僕の意見とメリット・デメリットについて書かせていただきました。

 

中性化手術をお考えの飼い主様の判断材料になれば幸いです。

 

それではよろしくお願い致します。

 

小野寺動物病院 院長 小野寺史也

 

ワクチネーションプログラムについて

2012年7月8日

おはようございます。今日はワクチンについて書こうと思います。

 

ワクチンを摂取する頻度・日にち・回数を決定して予定通りに接種していくことをワクチネーションプログラムと良います。

当院のプログラムは基本的にWSAVA(世界小動物獣医師会)の推奨するもの(PDF)に則っています。

 

全文の前にエッセンスだけ書きますね。

 

●混合ワクチンは生後4ヶ月まで接種する。ただし場合によっては3ヶ月までで良しとする。

●3もしくは4ヶ月目の混合ワクチンの1年後にワクチン接種をする。

●1年後のワクチン接種の後は3年毎にする。

●犬の場合、狂犬病ワクチン接種と登録を毎年行うことが、法律に定められた義務である。

 

…です。いかに詳しい話を書いていきますね♪

 

◯当院のワクチネーションプログラムについて

○ワンちゃんの場合:午前中に来院、接種してください。
接種日推奨日齢は生後50日目、90日目、120日目です。

犬の場合、90日でのワクチン接種では有効率が70%位ですので120日でのワクチン接種をおすすめしています。

当院でおすすめしているワクチンは共立製薬のキャニバック5です。5種以上のワクチンは通常備蓄していませんのでご希望の際は事前にご連絡下さい。

初年度の最後のワクチンから1年後に、再度ワクチン接種の必要があります。ただ1年目のワクチンを接種した後からは当院では3年に1回のワクチン接種を推奨しています。詳しくはご質問下さい。

 

○ネコちゃんの場合:午前中に来院、接種してください。

接種日推奨日齢は生後60日目、90日目、120日目にワクチン接種を行います。

猫の場合、90日でのワクチン接種で有効率は80%位ですので完全屋内飼い、他の動物との接触がない場合には90日で終了とする場合があります。

当院でおすすめしているワクチンは共立製薬のフェリバック3です。3種以上の(以下略)

 

ただし、ネコちゃんが家族になる理由の2番目は拾得ですので、拾得した場合は早めの接種をおすすめするとともに、いるのであれば先住のネコちゃんへの接種もおすすめします。

初年度の最後のワクチンから1年後に、再度ワクチン接種の必要があります。ただ1年目のワクチンを接種した後からは当院では3年に1回のワクチン接種を推奨しています。詳しくはご質問下さい。

 

新しい子を導入する場合には伝染病の確認が必須ですので、接触させる前に病院にご相談下さい。

以前にワクチンによる副反応(副作用)が出た子に関しては、ワクチン接種前に薬を注射することで副反応を弱めることが可能である場合があります。

ワクチン接種前の注射につきましては事前にご相談いただくか、早い時間に来院されてください。

 

よろしくお願いいたします。

 

小野寺動物病院 院長 小野寺史也