グレインフリー?グルテンフリー?ペットフードについて

2018年8月13日

暑い日が続きますね…。体が溶けるような感覚すら感じる、暑いの苦手な小野寺です。

最近、待合室テレビで食餌、フード、ワクチン、フィラリア、ノミ・ダニについての私見を流すようにしました。

その結果かなりの反響をいただきましたので、ウェブ上でも情報の更新をしようと思います。

基本的には以前に書いた「動物の食餌について」の内容と変わりませんが、より具体的にペットフードについて書きたいと思います。

 

だいぶ長いです。

結論はこちら。

・炭水化物は推奨される食餌に入っていない。

・タンパク質対脂肪の比率は3:1以上である

・ネコは肉食の特性が強く残っている。

・イヌは狼よりも炭水化物を消化吸収することが出来る。 (炭水化物が消化吸収できることは、蛋白質や脂質を摂取しなくてもいいということでは断じてない。)

・タンパク質や脂質の消化効率は炭水化物を上回らないと予測される

・イヌへの炭水化物給餌への有用性は不明である。

・総合栄養食は完全栄養食ではない。少なくとも現時点で、同じであると断ずるべきではない。

・グレインフリーは「特定の穀物を使用していない」ことを証明するものであって「炭水化物を使用していない」ことは証明しない。

・グルテンフリーは「特定の穀物由来のタンパク質を使用していない」ことを証明するものであって「穀物由来のタンパク質を使用していない」ことや「炭水化物を使用していない」ことは証明しない。

・個人的にはイメージ商法に近く感じるため、安易に飛びつかないようにしましょう。

イヌは狼が変化して炭水化物を利用可能になった生き物なので、安易に狼と同列に考えてはいけない。

・新鮮な食肉が身近に流通しているのだから、お肉を利用しましょう!

ということです。

 

まず、イヌの推奨食餌許容量(小動物の臨床栄養学より)を記載したいと思います。

単位はg/kg/day、体重1Kgごとに1日何グラムが推奨されるか、です。

ただし水分+タンパク質+脂肪の合計が97と100にだいぶ近いのでほぼイコール(≒)%と考えても問題ありません。

代謝可能エネルギー・・1kg当たり65(kcal)

●水分(ml)・・・・・・1kg当たり65(ml)

●タンパク質(g)・・・・1kg当たり24(g)

●脂肪(g)・・・・・・・1kg当たり8(g)未満

カルシウム(mg)・・・1kg当たり100(mg)

リン(mg)・・・・・・1kg当たり75(mg)

ナトリウム(mg)・・・1kg当たり25-50(mg)

カリウム(mg)・・・・・1kg当たり55(mg)

マグネシウム(mg)・・・1kg当たり15(mg)

鉄(mg)・・・・・・・・1kg当たり1.4(mg)

銅(mg)・・・・・・・・1kg当たり0.1(mg)

亜鉛(mg)・・・・・・・1kg当たり1(mg)

ヨウ素(mg)・・・・・・1kg当たり0.015(mg)

 

色々並んでいますが大切なことはこの二点。

1.炭水化物は推奨される食餌に入っていない。

2.タンパク質対脂肪の比率は3:1以上である。(脂肪が8g未満であるため。例えば4gなら6;1で満たしていることになる。)

 

まずは動物の食性について考えてみます。

猫は食肉目(ネコ目)ネコ科、犬は食肉目イヌ亜目イヌ科です。

猫はほぼ完全な肉食獣です。数万年前からほぼ変わらぬ形状を保ち、その食性もあまり変わりません。

一方犬は、もともとの食性が「僅かに雑食より」であったのが3万年くらいの人間との共生によりより雑食寄りになりました。

狼に比べて腸も長く、炭水化物の消化酵素量も消化酵素の遺伝子も多いことが分かっています。

3万年前といえば後期旧石器時代。クロマニヨン人(ホモ・サピエンス)が急速に台頭してきた時代です。

人の食性に近づいたことが遺伝子的に分かっています。

「ほら、ご飯だよー(肉)」

犬:「わーい」

から

「ほら、ご飯だよー(米)」

犬:「わーい」(うーん、肉のほうが嬉しいんだけど食うか)

的な感じでしょうか?なんとなく微笑ましいけど「犬:肉喰いてえなぁ…」と聞こえるようです。

なお、猫には炭水化物由来である「甘み」を感じる構造(味蕾)がありません。

 

更に食性の話。

人のような雑食性はもともとの食物が果物、その種、虫、肉です。硬いものを食べる前提から僕らの臼歯はものをすり潰す「臼状」です。

一方犬や猫にも便宜上臼歯に分類される歯はありますが、その全てが互い違いになった人の「門歯や犬歯」の形状です。

肉食獣の歯は肉の塊から食べられる大きさの肉を引きちぎるものです。

草食獣の歯は草をすり潰し、場合により繰り返しすり潰すための形状です。(そのため牛には門歯が対で生えていません)

雑食はその中間で門歯から犬歯は互い違いですが、臼歯はすり潰す形状です。「何でも食うぞ」的なやる気を感じますね。個人的に。

 

さて、今現在の犬の歯の形状は肉食獣の特徴を備えたままです。猫も同様です。

体の中の酵素の産生量に変化が及んでいても腸の長さが長くとも、より進化の本質に近い骨格の形状にあまり影響がない以上、犬や猫は「肉を食うこと」に長じた

生き物であると言えます。

歴史が違いますもんね。イヌがイヌたり得た期間が数千万年であるのに対し、人との共生は長くとも3万年と言われています。

フードや米よりも肉を好みます。これは肉をあげてみれば一目瞭然ですね。

例えてみると

猫は「くれるなら少しは炭水化物の消化も出来るよ、味はわかんないけどなんとなく旨く感じるよ。でも肉が良いな。」

犬は「炭水化物は消化も出来るし味も感じるけど、やっぱりタンパク質や脂肪のほうが消化は得意だな。肉うめぇ」

といったところでしょうか。(多分に主観が混じっています)

 

要は

・ネコは肉食の特性が強く残っている。

・イヌは狼よりも炭水化物を消化吸収することが出来る

(ただし、炭水化物が消化吸収できることは、蛋白質や脂質を摂取しなくてもいいということでは断じてない。)

・タンパク質や脂質の消化効率は炭水化物を上回らないと予測される。(元来の食性が肉食であり、「炭水化物の多給」により消化吸収が良くなっているのであればそれは「現在食性が変化している最中」だと思われるため)

 

さてここからはペットフード、特にドライフードについてのお話です。

動物用フード最大手のホームページには

「適切に処理された炭水化物は動物にとって有効な栄養素である」とされています。

現状、炭水化物がどれほど犬猫に不要(もしくは必要)なのかは分からないため、この説に根拠のなしありは言えません。

もしかしたら非常に高効率な可能性もあるからです

しかし元が肉食である以上、少なくとも炭水化物の含有量はタンパク質と脂質の合計を上回ってはいけないと思います。なぜなら

「食肉目」であり、「食肉目の身体的特徴を現存している」からであり、「米よりも肉を好む」上に「現在が過渡期と思われる」からです。

 

日本で販売されるドライフード、いろいろありますよね~。スーパーでズラって並んでいます。

特に最近驚くのは、各犬種に合わせた配合プレミアムフードです。

「犬」の至適栄養成分が分からない現状で、犬種毎の配分が算出される理屈がわかりません。

答えが「不明」の疑問なんて解きようがなと思うんですがね…。

 

ペットフードについて思うことを正直に書きます。

僕はこの、「どんな栄養バランスの食餌が寿命を最長化しうるのか」という疑問が「答えが不明の疑問」であることが一番の問題なんだと思います。

最後の一文に「まぁ断言できないけど」ってなる出来事は、結局一人一人の気分と感覚の問題、すなわち「何を信じたいか」で決まってしまうと思います。

だから印象操作が、例えばキャッチーなテレビコマーシャル、目を引く広告、並ぶ勘違いしてしまいそうな文言、が動物の食餌内容を決めさせ、

結果として動物の寿命を決めている現状がイラつくんですね。

 

人にとっての過不足ない食餌を「完全栄養食」「完全食」といいます。これは20世紀初期に日本の医師二木謙三さんが使用したりもので、人にとっての玄米を主に指し、

生きたものを摂取すべしというものです。現代においては、厚労省「日本人の食事摂取基準」に定める必須栄養素を過不足なく補える食品が、もっとも完全食の定義に近いといえます。

完全食は単一の何かを指すものではなく、「必須栄養素を過不足なくおぎなえるもの」と言えます。

 

さて、ペットフードの多くは「総合栄養食」を称しています。この称号は「犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで、

指定された成長段階における健康を維持できるような、栄養素的にバランスのとれた製品」をいいます(一般社団法人ペットフード協会HPより)。

「ペットフード公正取引協議会」がAAFCOに準拠して定めた栄養基準を、分析試験もしくは給与試験によってクリアしたものです。

…とのこと。

でも動物完全食とか動物完全栄養食とは名乗らないんですね。

個人的には「完全栄養食」と「総合栄養食」は紛らわしいので変えてほしく思います。

だって人間が「理想的な食餌」を確実に決定するなんて、おこがましいですもんね。

 

 

 

ペットフードの話に戻りますね。

ペットフードの配合をご存知でしょうか?

お手元のフードにはこう書いてあるでしょう。

粗蛋白~%以上、粗脂肪~%以上、粗灰分~%、、粗繊維~%、水分~%。

気づきましたか?「炭水化物」入っていないんです。

法律で内容成分全ての表示義務が発生した今でも「炭水化物だけ」表示義務がないんです。

どうしても表示したくないのかな?って思っちゃいますよね。個人的には。

日本食品分析センターによれば、

粗炭水化物=粗タンパク質-粗脂肪-粗繊維-粗灰分-水分

とのこと。引き算で出るんです。

つまり、フードの裏に書いてある%を合計して100から引けば炭水化物の最大配合率が出るんです。

 

ちょっと話がずれて、昨今話題のグレインフリー、グルテンフリーのフードについて。

グレインフリーとは「穀物不使用」であること、グルテンフリーとは「穀物由来のタンパク質不使用」のことです。

「肉食獣の食餌で穀物が入っていないなら、残りは肉が主体なんだろうな」

「穀物由来のタンパク質が入っていない食餌なら、残りは肉が主体なんだろうな」

そう思った人は、見事に勘違いしているの気をつけて下さい。

とあるグレインフリーで、動物性タンパク質の由来率が53%のフードがあったとします。

「お、半分以上が動物由来なんだ」と思った人はやはり勘違いしやすいと言えるでしょう。

「53%が動物由来」なのでなく「47%が植物由来」なのです。

ちなみにタンパク質の割合は28%です。(53%に騙されないようにしましょうね!)

そしてこのフードは粗タンパク質-粗脂肪-粗繊維-粗灰分-水分の合計が58.5%%なので最大で41.5%が炭水化物なのです。

 

とあるグルテンフリーのフードがあります。

粗タンパク質-粗脂肪-粗繊維-粗灰分-水分の合計が46%、よって最大炭水化物含有量は54%にも登ります。

 

グレインフリーもグルテンフリーも、

「これを使ってないとは言ってるけど、炭水化物が入っていないなんて言ってない」という商品であるようです。

個人的にはグレインフリーやグルテンフリーは「アレルギー体質の動物」や「アレルギーの可能性のある症状がある動物」に使用を考えるもので

あって、「体にいいものを食べさせたい」という希望に合致するものではないと思います。

僕の中の位置づけは除去食に近いですね。

明確な除去食でないので病院で処方するものよりは全然信用していませんが。

 

「イヌは肉食だから穀物をあげるべきではない。だからグレイン(穀物)フリー(不使用)が体にいいんだ!」という仮定のもと「グレインフリーペットフードを与えましょう」と

語っておいて、グレインでないものから採取した炭水化物が入っているのであれば筋が通らないと思います。

イメージ戦略の匂いを感じます。しかもプンプンと。

 

アレルギーの原因物質ランキングは

1位:牛肉

2位:乳製品

3位:鶏肉

4位:小麦

5位:鶏卵

6位:とうもろこし

とのこと。

…あれ?穀物1/3じゃない?まぁほぼ同率6位に大豆が入っているんでこれも一種の印象操作ですが(笑)。トップスリーは肉関係なんですね。

じゃあお肉を減らすべき…ではありません。アレルギーの原因物質については、アレルギーを疑う症状が出てから考えましょう。

 

要約

・イヌへの炭水化物給餌への有用性は不明である。

・総合栄養食は完全栄養食ではない。少なくとも現時点で、同じであると断ずるべきではない。

・グレインフリーは「特定の穀物を使用していない」ことを証明するものであって「炭水化物を使用していない」ことは証明しない。

・グルテンフリーは「特定の穀物由来のタンパク質を使用していない」ことを証明するものであって「穀物由来のタンパク質を使用していない」ことや「炭水化物を使用していない」ことは証明しない。

・個人的にはイメージ商法に近く感じるため、安易に飛びつかないようにしましょう。

 

 

ちょっと話が飛んでBARFという考え。

これはBone And Rare Food、すなわち骨付き生肉だけの給餌が推奨されるという考えのこと。

たしかに野生の犬や猫の食事は動物なので、「食べるのは骨付き生肉」ですよね。

でも日本で入手できる肉は正肉という筋肉と脂肪部分だけ。

草食獣の体はそれだけでは出来ていませんよね。肝臓、腎臓、腹腔内脂肪、そして腸の内容物でできています。

だからBARFは「足りないもの」があることになります。

慣れていない骨の給餌も僕はおすすめしません。しばしば、骨の誤食で問題が置きて治療が必要になる場合があるからです。

最も多いのが骨の食道内停滞ですね。食道の途中で骨が引っかかって胃まで行かず苦しむ疾患です。内視鏡の出番ですね。

自然な骨を与えたい場合、僕はリスクを考慮して「熱処理された骨粉」を勧めます。比較的安価ですし強い熱処理がされているので安全ですので。まぁ卵の殻でも良いんですがね。

 

「狼が食べているものが犬にベストなのか」を考えると「ベストっぽいけど、同条件で比べたことがないから分からない」が結論だと思います。

分からないことは分からないのです。

そして「適切に処理された炭水化物は動物にとって有効な栄養素である」としても、これが犬猫の寿命の延長につながるかもわからないのです。

やはり、分からないことは分からないのです。先程書いたことですね。

でも「分からない」が結論になるとしても「じゃあ何でも良い」にはなりません。家族の一員である動物には長生きしてもらいたいと思うからです。

 

近年、犬や猫の寿命は延長傾向にあります。特に30年ほど前との比較は差が大きく、その伸び率は倍程度になるほどです。

同時期、ペットフードの普及率も激増し、20%程度が近年では90%以上とのこと。

また、現在の犬の平均寿命は

「5kg未満の犬の平均余命は13.8歳で、5~10kgの犬では14,2歳、10~20kgの犬は13.6歳、20~40kgの犬は12.5歳、40kg以上の犬が10.6歳、

全体的な平均余命は13.7歳となったそうだ(0~1歳時基点)。」とのこと。

犬(おそらく猫も)の平均寿命が伸びた背景にはいくつかあるかと思いますが、代表的なものをあげると

・食事内容の変化(ご飯主体からペットフードへ)

・飼育様式の変化(外飼いから屋内飼いへ)

・好まれる犬種の変化(小型~中型から超小型~小型へ)

・動物医療知識の普及による、感染症発生率の低下(幼齢期のワクチンとフィラリア予防など)

などでしょうか。

 

それはそうと、ペットフードの普及と犬の寿命の延長が相関関係にあったので、ここを考えてみましょう。

ペットフードとそれまでの食餌の違いは「栄養バランスの概念の有無」だと思います。

「犬の栄養要求に答えた食餌に変更したところ寿命の延長があった」ことが重要だと思います。

それが、ペットフードでなくとも高タンパクなものを食べれば同様の効果があったと僕は思います。

しかし、これだけ急速に普及した理由の一つが「入手しやすい価格だった」からであることも忘れてはいけません。

 

なお、肉を主体とした食餌にした場合、犬の推奨食餌許容量のカリウムの項目を大きく逸脱します。

動物の体内の血液には塩分が、細胞内にはカリウムが多く、血抜きをしてあるお肉では血液が含まれないからです。

骨が入っていないとカルシウムも不足しやすくなります。

 

要約

イヌは狼が変化して炭水化物を利用可能になった生き物なので、安易に狼と同列に考えてはいけない。

 

ダラダラと書いてきましたが要約してみます。

・炭水化物は推奨される食餌に入っていない。

・タンパク質対脂肪の比率は3:1以上である

・ネコは肉食の特性が強く残っている。

・イヌは狼よりも炭水化物を消化吸収することが出来る。

 (炭水化物が消化吸収できることは、蛋白質や脂質を摂取しなくてもいいということでは断じてない。)

・タンパク質や脂質の消化効率は炭水化物を上回らないと予測される

・イヌへの炭水化物給餌への有用性は不明である。

・総合栄養食は完全栄養食ではない。少なくとも現時点で、同じであると断ずるべきではない。

・グレインフリーは「特定の穀物を使用していない」ことを証明するものであって「炭水化物を使用していない」ことは証明しない。

・グルテンフリーは「特定の穀物由来のタンパク質を使用していない」ことを証明するものであって「穀物由来のタンパク質を使用していない」ことや「炭水化物を使用していない」ことは証明しない。

・個人的にはイメージ商法に近く感じるため、安易に飛びつかないようにしましょう。

イヌは狼が変化して炭水化物を利用可能になった生き物なので、安易に狼と同列に考えてはいけない。

 

よって。

 

・現時点で、犬や猫への至適栄養バランスは不明瞭である。

・猫は肉食獣、犬は雑食よりの肉食獣だが、炭水化物の真の有用性は分かっていない。

・犬や猫は肉食獣なので肉だけを食べるべきだという考えは、直感的に理解・肯定できるが「本当のところは分からない」。

・食性(肉食獣であること)から、タンパク質及び脂質の割合は炭水化物の割合を超えるべきではないと「想像される」。

・一般ペットフードは炭水化物含有割合がタンパク質及び脂質の割合の合計を大きく超えるものが多い。

・動物の血液、腸の内容物は現在の日本では入手が難しい。

・よって、一般ペットフードと食肉の併用が金額・手間の両面から現実的だと思われる。

 

・おまけ:総合栄養食、グレインフリー、グルテンフリーはいずれも「体にいい食餌である」ことを担保しない。

・おまけ2:肉食獣の食性を考慮していると思われるフードとして、個人的にORIJIN、ACANAを推奨する。

フードではなくフリーズドライだがAAFCO基準を満たし、原料の90%が肉のK9も推奨できる。

ただしフードである以上細胞は崩れた状態なので、細胞を保った食肉との比較は一概に言えないと思われる。

 

うーん、やはり至適栄養素が分からない以上、すべてが食事を与える側の気持ちや感覚で左右されるのでしょうね。

 

当院ではドライフード単独ではなく、ドライフード重量以上のお肉を与えることを推奨しています。

炭水化物過多のドライフードにタンパク質を主体としたものを加えてほしいからです。

 

まぁ本当に言いたいことは

・寿命を決定する食餌内容を決めるのは飼い主の方なので、長生きさせたいと願うならば日頃の食餌内容に気を配るほうが「どこの動物病院にかかるのか」なんて問題なんかよりもよほど重要なことですよ。

ってことですね。

 

ぜひしっかり考えていただき、よろしければ来院されて話を聞いて下さい。

食餌・ワクチン・予防に関するスライドと冊子をご用意しています。

 

小野寺動物病院 小野寺史也

手術についてのお話

2015年7月6日

なんと!

随分ブログを更新していない自覚はありましたが前回の更新から2ヶ月も経ってしまっていますね。

自分でも呆れるくらいの筆不精ならぬブログ無精…もとい、たんなるサボり魔の院長小野寺です。こんばんは。

 

今回は大分増えてまいりました手術について、どのように行っているか書かせていただきたいと思います。

具体的には局所麻酔と全身麻酔について、お迎えに時間などについて書きたいのが本意です。

今回の記事はピックアップトピックスに載せるので長いですよ?

 

よろしくお願いいたします。

 

よくご相談として受けるものが

「歯の処置がしたいのだけれども年齢が高いので、麻酔すると死んじゃうと言われた」

「小さな皮膚の腫瘍を取るためにも安全のため全身麻酔は必須なので、高額になる」

「全身麻酔って、すると死んじゃうイメージがある」

などです。

 

当然ですが多くの飼主様は麻酔に関しての知識をお持ちではありません。

今回の記事で少しでも適正に嫌悪感を減らし、動物に最もメリットのある処置を選んでいただく一助になれば、と思っています。

以下に麻酔処置と手術について記していきますが、これはあくまで当院の場合のお話と思って下さい。よろしくお願いいたします。

 

そして重要なのははっきりとした定義です。

「リスクもはらむ(全身麻酔)処置は、現在のこの子の不利益を打ち消す価値のあるものなのか」

これは当然僕も念頭に置いて治療していますが、要はデメリットを一蹴するくらいメリットが大きいか否か、がとっっっっっても大切です!

 

さて、では書いていきますねー。

 

麻酔には大きく「全身麻酔」と「部分麻酔」があります。

全身麻酔とは動物の意識が消失した状態を維持し、手術後覚醒させるものです。

部分麻酔とは動物の意識はある状態を維持し、痛みのみを除去して手術を行うものです。

(部分麻酔には麻酔部位の大きさによって手技がいくつかありますが、全て「意識を保つ」ことが重要です。)

動物麻酔にはこの他に「鎮静麻酔」というものがあり、これはザックリ書くと「痛みは感じるけれど血圧が低くてだるくて動けない」状態にしてから手術を行うもので、少々攻撃的な動物の場合に多く提案します。もちろん痛みは感じていますので局所麻酔薬との併用が原則です。

 

 

●部分麻酔手術について

当院では基本的に体表の腫瘤(イボ)摘除の手術は局所麻酔によって行います。15cm位の腫瘤でも可能です。

液体窒素を用いた体表腫瘤の除去は行っていません。良性悪性の診断が非常につけにくくなるからです。

この他にも局所麻酔によって得られるメリットがデメリットを上回ると思われる場合には局所麻酔での手術をご提案させていただく場合があります。

例えば断指手術や口の中に出来たイボの除去、断尾手術は基本的に局所麻酔にて行います。

「歯の処置やお腹を開けたりしない手術はだいたい部分麻酔」と考えていただいて結構です。

 

ただ体表の腫瘤摘除であってもまぶたに出来た腫瘤摘除だけは鎮静もしくは全身麻酔下にて行うことが多いです。

急に動いて眼に針が刺さった場合、全身麻酔下での処置が必要になりますので。

(どうしても飼い主様が希望される場合にはその旨を確認していただいた上で行いますが…)

 

 

局所麻酔手術のメリットはなんといっても動物の意識を消失させないため手術後すぐに帰宅できること。

そのため局所麻酔手術後の引き取りは「午後の診療時間内であればいつでも」とお伝えしています。

午前12時にお預かりして午後3時半にお返しすることが可能です。

デメリットは局所麻酔薬であるキシロカインとブピバカインの副作用(飼主様が気づくようなものはほとんどありません。また、アレルギーに分類される副作用ですので起こした場合には院内での処置となります。)、並びに麻酔持続時間延長効果のあるエピネフリンに反応する可能性(エピネフリンとはアドレナリンのアメリカ表記です。活動的になったり血糖値が上がったりします。)があるということでしょうか。

今まで眼にしたことはありませんが。

(当院では手術後の気にし始める時間を少しでも長くするため局所麻酔薬は短時間型のキシロカインと中長期型のブピバカインを合剤として使用しています。)

 

痛みを伝えるのは神経です。この神経を局所麻酔薬で麻痺させ、その神経の支配領域全てを麻痺させる手技を上位神経麻酔、浸潤麻酔と言います。

先に書きました断指手術も手の甲に麻酔することで無痛で行えます。もちろん目の前にいる人や手を噛んでくる動物には使えませんが、四肢末梢の手術や体表の手術は部分麻酔が基本です。

 

 

●全身麻酔について

全身麻酔を行う手術はもちろん局所麻酔で行う手術よりも多く、局所麻酔手術に記載した手術以外は基本的に全身麻酔によって行います。

動物の意識がない状態で行うため拒絶の反応が一切なく様々な処置が行えます。動物は麻酔中の痛みを感じることなく、覚醒(目を覚ます事)ごに始めて感じます。ただ意識を奪う麻酔の場合、脳の機能の一部を停止させるわけですから色々な「その時起きなくても良い反応」が起きます。

具体的には血圧の低下と心拍数の低下に伴う低体温と血液循環不全、呼吸低下に伴なう低酸素です。

これらの対策として一般的なのは血圧が下がりにくくする薬の併用、心拍数が下がらないように麻酔状態を維持する、低体温にならないよう湯たんぽないしヒートカーペットを使用する、血液量を補うため術中に点滴を行う、低酸素にならないように酸素の供給を行い必要であれば陽圧換気(酸素を肺に送り込むこと)を行う…といったところでしょう。

当院では全て行いますし、やらない動物病院はまずないと思われます。

もちろん手術中の動物の心電図、心拍数、血圧、体温、呼吸状態は確認できるようにしておきます。

当院では全て行いますし、やらない動物病院はまずないと思われます。

 

具体的に記載したいと思います。

まず全身麻酔の準備として術前に麻酔がかけられる状態であるかの血液検査を行います。

若い動物であれば最小限の、老齢動物であれば十分網羅した検査をおすすめします。

最小限検査セットは5000円、院内健康診断セットは13000で可能です。健康診断セットをおすすめするのは7歳以上の犬猫です。

血液検査の異常と体温、呼吸の様子の異常がなければ基本的に手術は可能ですが場合によっては胸部レントゲン、心電図、超音波検査の必要が出てきます。これは症例によりまちまちです。

血液検査で問題がなければ基本的に全身麻酔は可能ですので手術当日の朝ごはんだけは抜いて連れてきていただきます。

連れてくる時間はいつでも構わないのですが動物にとって病院にいる時間はストレスを感じる時間に等しいと思っていますので、なるべく午前の診療時間終了ギリギリが望ましいですね。

 

手術時間になったら(当院では1時から、場合によっては12時から)動物には留置針という血管内に薬を入れやすくする管を入れます。

(猫の去勢ではしないことが多いです、場合によっては剃毛します)

その後、前処置と言って意識を奪う麻酔薬を効きやすく、また量を減らせられる薬を投与します。具体的には痛み止めと鎮静薬、心拍数低下予防の薬です。

その後本麻酔(基本的にはプロポフォール)を投与して意識の消失を確認した上で気管チューブ(滅菌済)を挿管し、人工呼吸を行います。

この後手術しやすい姿勢にし(保定といいます)、ヒートマットによって体温の低下を防ぎながら手術を行います。

もちろん動物の麻酔状態を確認し続けるために呼吸時の麻酔濃度、酸素飽和度(動物が低酸素、すなわち苦しい状態になっていないかの確認)、心拍数、血圧を経時的観測します(モニターする、とも言います)。

手術中は例外なく点滴を行います。(再三になりますが猫の去勢を除きます。)

手術部位が大きくなった場合には術後疼痛を和らげるために中長期型局所麻酔薬を手術部位に注射します。

 

この後、必要な手術を行い麻酔が切れて動物が頭をあげるようになった時点で飼い主さんへの電話報告を行います。

動物の覚醒が遅い場合には入院を勧める場合もあるかもしれません。

(開業から今までは一度もありませんが)

 

当院の去勢・避妊手術は基本的に日帰りです。

飼い主様のご希望であれば入院をする場合もありますが、僕は「動物は一日も安心できない場所に居たくはないはず」と思っていますので去勢・避妊等の手術の場合、基本的に日帰りをおすすめします。一番疲れた夜こそ安心できる場所でぐっすり寝て欲しいんですよね。

また、手術翌日の夕方になっても元気が無い場合には来院をお願いしています。

ああ、あとネコの去勢以外は縫合の糸があるためエリザベスカラーの使用をお願いしています。ネコの去勢でも手術部を舐められると化膿の可能性があるためお願いしています。ちなみにカラーは柔らかく動物のストレスになりにくいものを採用しています。基本的には四日ほど、舐めても傷が開かなくなるまでの使用ですがカラーは一応買い取っていいただきます。

 

手術後の抜糸は1周間から10日後の好きな時間にいらしてくださいとお願いしています。

抜糸でしたら20秒で終わりますし、料金はいただきませんので。

ただし2週間を過ぎると糸を伝ってきたばい菌によって化膿する可能性が高まりますのでご留意ください。

 

全身麻酔を行った動物は可能な限り直前まで様子を見たいので、午後6時以降のお迎えをお願いしています。

 

 

…と、こんなところでしょうか。

 

今回のブログが全身麻酔をかける動物の飼主さんの一助になれば幸いです。

 

中には「この動物は麻酔をかけると死ぬ」と言われている飼い主さんもいるようですし。(短頭種の飼い主さんに多い印象です。)

全身状態が悪く麻酔のリスクが著しく高い動物も中にはいますが、寝て覚めるので「麻酔」といいます。

覚めないことなどないように細心の注意をはらいます。

 

当院で全身麻酔下の処置及び手術を無闇にお勧めするつもりは毛頭ありませんが、

「本当に無理なのか」とお考えの方はご相談いただければと思います。

 

今日こんな感じのブログを更新したのは、ある飼い主さん(初診の方)が切実なお顔で「この子に一番ためになる治療をお願いします」とおっしゃったからです。

「僕は神様ではないのでする処置がいつもベストであると断言はできませんが、少なくとも僕がメリットが上回ると思う治療以外を提案することはありません。」とお伝えしました。

 

嘘にならないように勉強します(汗笑)。

 

ご相談があれば、メールでご連絡下さい。

 

小野寺動物病院 院長 小野寺史也

動物と動物病院との年間スケジュール

2014年9月23日

夜には虫の音が聞こえてくるなど、少しずつ秋が近づいてきているのだなと感じます。 院長の小野寺です、おはようございます。   秋から冬の時期は動物にとって過ごしやすい日が多く、出かけるのも格好の季節です。

 

少し遠い公園やドッグランなどに出かける機会も増えてくるこの時期に健康診断などはいかがでしょうか?

この時期に健康診断をおすすめするにも理由があります。 気温の低下とともに空気が乾燥し、呼吸器系の病気にかかるワンちゃんが増えてくるからです。

また、気温が下がると体温を逃がすまいと体の表面の血管が収縮し、結果体の内部の血圧が上昇します。

血圧が上昇すると心臓が働く力が多く必要となり、心臓病が発現・進行するためです。

当院でも軽度の心臓疾患の動物の飼い主様には今年涼しくなってきたら投薬を始めましょうとおすすめしていることもあります。

このように季節的な注意事項やすべきことを表にしてみました。

健康診断の時期も書いてありますが、5歳未満のこの場合は必ずしも年に1回である必要はないと考えています。

逆に10歳を超えるような場合には年に2回実施してもよいと思います。

よろしければ参考になさってください。

 

<猫の場合>

・ワクチンは成猫の場合3年に1回をお勧めしています。

1月…寒いですね。

2月…避妊手術をしていない子の場合、発情の多くなる季節です。予定外の妊娠を避けるよう注意しましょう。

3月…換毛の季節です。毛玉をよく吐く子の場合、猫草を置いたり毛玉予防サプリメントを給餌して毛玉に備えます。

4月…換毛の季節です。毛玉をよく吐く子の場合、猫草を置いたり毛玉予防サプリメントを給餌して毛玉に備えます。

5月…換毛も落ち着き、過ごしやすい時期です。思い思いの共生を楽しんで下さい。

6月…過ごしやすい時期です。思い思いの共生を楽しんで下さい。

7月…徐々に暑くなる時期です。扇風機・エアコン等を用いて室内の気温が暑くなり過ぎないように留意します。

8月…暑くなる時期です。扇風機・エアコン等を用いて室内の気温が暑くなり過ぎないように留意します。

9月…暑さが残る時期です。扇風機・エアコン等を用いて室内の気温が暑くなり過ぎないように留意します。

10月…外に連れ出してもストレスの少ない時期です。健康診断をお勧めいたします。

11月…換毛の季節です。毛玉をよく吐く子の場合、猫草を置いたり毛玉予防サプリメントを給餌して毛玉に備えます。

12月…空気が乾燥し、猫伝染性鼻炎にかかったり、症状がひどくなる時期です。屋内の湿度と気温に注意しましょう。

 

<犬の場合>

・ワクチンは成犬の場合3年に1回をお勧めしています。

1月…犬伝染性喉頭炎にかかったり、心不全の症状が悪化しやすくなる時期です。屋内の湿度と気温に注意しましょう。

2月…犬伝染性喉頭炎にかかったり、心不全の症状が悪化しやすくなる時期です。屋内の湿度と気温に注意しましょう。

3月…ダブルコートの犬種の子の場合、換毛の時期です。皮膚疾患の対策をしましょう。狂犬病のワクチンは3月初旬から有効です。

4月…狂犬病の葉書が行政から届く時期です。集団接種や病院で狂犬病予防接種を受け、登録をしましょう。

5月…フィラリア・ノミ・ダニの予防開始時期です。病院でフィラリアの検査を受け、ご希望によっては健康診断の検査も同時実施が可能です。

6月…フィラリア・ノミ・ダニの予防開始時期です。病院でフィラリアの検査を受け、ご希望によっては健康診断の検査も同時実施が可能です。

7月…徐々に暑くなる時期です。散歩時には気温に注意し、熱中症に気をつけるよう留意してください。

8月…本格的に暑くなる時期です。散歩時は気温とアスファルトの温度に注意し、肉球のやけど・熱中症に留意しましょう。特に短頭種の場合は散歩を控えた方が望ましいです。また、エアコン等により室温にも注意が必要です。

9月…暑さが残る時期です。特に短頭種の場合注意し、エアコン等による室温への注意が必要です。

10月…外出しやすい時期です。遠出に備えたり寒くなる前に健康診断を受けることをおすすめします。

11月…ダブルコートの犬種の子の場合、換毛の時期です。ブラッシングの頻度をあげたり、皮膚疾患の対策をしましょう。

12月…空気が乾燥し、犬伝染性喉頭炎にかかったり、症状がひどくなる時期です。屋内の湿度と気温に注意しましょう。

 

無理やり埋めたので文章が重複していますね(汗)

お伝えしたい大切なことは

●春と秋は換毛があるので皮膚対策しましょう!

●3,4月に狂犬病ワクチンを接種しましょう!

●混合ワクチンは3年に1度なので当院からの葉書をきっかけにワクチン時期を確認しましょう!

●7歳位以上の動物は年に1回の健康診断をしましょう!せめて顔を見せてください(笑)

●動物の多くは日本の寒暖差に適応していません。何かあれば相談してください!

 

以上です。よろしくお願いいたします。

 

小野寺動物病院 院長 小野寺史也

動物の中性化(避妊・去勢)のお話

2014年9月16日

半袖では肌寒く、もう一枚着ていると少し暑い。

長袖Tシャツやシャツ一枚でちょうどいい季節になってきました。

とても過ごしやすい気温ですね。小野寺動物病院の小野寺です。おはようございます。

 

 

気温が落ち着き、夏の間は控えていた避妊手術や去勢手術をお考えの飼い主様もいらっしゃるかと存じます。

今日はそれら中性化手術(性をなくす手術の意味で、メスの中性化手術=避妊手術・オスの中性化手術=去勢手術)について書いていこうと思います。

 

 

ではまずは結論です。(笑)長くなりますので。

 

●中性化手術は、繁殖の可能性がない動物において性関連トラブルの回避、性関連ストレスの低減に有用である。

●主なデメリットは麻酔による事故の危険性、手術による事故の危険性、性ホルモン欠乏による肥満傾向の発現である。

●最終的な判断は飼い主様に委ねられるが、「しない選択」をした場合には性関連トラブル(メスでは特に子宮蓄膿症と偽妊娠、

オスでは前立腺炎・付随する膀胱炎と会陰ヘルニア)を常に注意しておく必要がある。

 

…といったところでしょうか。普遍的な事柄を書いたので曖昧な表記、ややこしい文言になってしまっています。

 

以下に説明していきたいと思います。

 

その前に僕の基本姿勢について

●動物の寿命、特に健康寿命を延長することが最も大切である。

●飼い主様と動物とが楽しい豊かな時間を過ごすことが次いで大切である。

●基本的に飼い主様の意見を尊重するが、自身の知識・経験に基づいたことについては助言・提言をする。

 

このようなことを書くのは、中性化手術は動物のためにすることであり、決して飼主様のためだけや、ましてや病院のために

してもらうものではないからです。(病気の危険性が少なくなるという意味で病院のためでもありますが)

 

性関連トラブルや性ホルモンのストレスによる体内の変化が少なくなることで、寿命の延長効果が期待できるからお勧めしています。

 

全身麻酔について(詳しくは同じくピックアップトピックス「手術について」を御覧ください。)

・全身麻酔は数種類の薬剤を組み合わせて脳を麻酔下状態にすることで、無意識のうちに手術や処置を行うものです。

・全身麻酔を行う上で明らかな危険がないかは主に血液検査、レントゲン検査、心電図検査などで調べられます。

・若く健康な動物の場合、血液検査のみで手術の計画を立てる場合もあります。

・麻酔中は呼吸を管理し、同時に血中酸素飽和度、心拍数、血圧、体温などを測定することで動物の異常を素早く感知できるように気をつけます。

 

オスの中性化手術(去勢手術)について…精巣を摘出することで、精子の形成を永続的に阻害する手術です。

メリットとしては

・オス特有の病気になる確率が下がる。(精巣腫瘍、前立腺肥大症(犬)など)

・メスの発情への執着が少なくなる。

・繁殖を避けることが出来る。

・攻撃性の低下、マーキング、マウンティングの減少が期待できる。(全くなくなる場合はまれ)

※潜在精巣(袋に降りてきていない精巣)はちゃんとおりている物に比べ100倍腫瘍になりやすいです。若いうちに必ず!といった

手術ではありませんが、摘出を強くおすすめいたします。精巣腫瘍は組織学的には全て悪性ですので。

 

デメリットとしては

・ホルモンバランスが変化することで肥満になりやすくなる。

 

メスの中性化手術(避妊手術)について…卵巣単独もしくは卵巣と子宮両方を摘出することにより妊娠を回避する手術です。

 

メリットとしては

・メス特有の病気になる確率が下がる。(卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、子宮蓄膿症など)

・発情のストレスが回避できる。

・発情時の出血が回避できる。(犬)

・偽妊娠によるストレス、乳汁漏出が無くなる。

デメリットとしては

・ホルモンバランスが変化することで肥満になりやすくなる。

・尿の持続失禁が見られる場合がある。(主に卵巣子宮両方を取った場合)

 

特に犬において、避妊手術の時期と乳腺良性腫瘍の発生は相関関係が認められています。

 

初回の発情の前に避妊手術を受けた場合の乳腺良性腫瘍の発生率は約0.5%、初回から2回めまでの間では約8%、2回目と3回目の間では約26%です。この結果に限って言えば手術は早いほど良いですし、子宮蓄膿症について言えばいずれの時期であっても手術したほうが発生する確率を減らすことが出来ます。

 

メスの中性化手術には卵巣摘出術(卵巣のみを摘出する)と子宮卵巣全摘出術(子宮と卵巣両方を摘出する)とがあります。

当院では主に卵巣のみを摘出する方法を推奨・実施しています。

 

メリットとしては

・術創(手術の傷)が小さく、痛みによるストレスが少ない。

・お腹の中に残す糸が最小限で済む。

・手術時間が短く、術中麻酔障害(麻酔時間が長いことによる体温の低下・神経障害など)が少なくて済む。

・術後合併症(手術後に見られる、手術に起因する障害のこと。尿失禁、腹腔内肉芽種の形成など)が少ない。

 

デメリットとしては

・将来的に免疫不全を起こす疾患(糖尿病・副腎疾患・免疫介在性疾患・猫白血病(猫)・猫エイズ(猫))になった場合、子宮蓄膿症になる可能性がある。

 

上記のメリット・デメリットを比較した時に、僕はメリットが上回っていると思いますので卵巣のみの摘出を推奨しています。

もちろんご希望であれば子宮と卵巣両方を摘出する手術も可能ですのでご相談いただければと思います。

 

 

さて、よく耳にするご意見として「自然のままの姿でいさせてあげたい。」というものがあります。

こちらももちろん考え方の一つですし、尊重されるべきだと思います。

 

ただ、伴侶動物としての小動物はそもそもとして少々不自然な環境であることを思い出してほしいと思います。

オスであれば射精までのプロセスまでが自然における役割ですので身体的に不自然なことはありません。

しかし、メスの場合は妊娠、出産、授乳までを含めて自然で経験すべきプロセスです。これを繁殖学用語で完全生殖周期といいます。

(実際は発情・交配・妊娠・出産・授乳まで)

 

これに対して妊娠せずに発情・偽妊娠しかないものを不完全生殖周期といい、体にとってはストレスにしかなりません。

実際に2回の出産を経験した場合は、出産経験のない同年の動物と比較してメス特集の繁殖疾患にかかる確率が明らかに少ないという報告があります。

 

僕はご家庭に今いる動物を治療・予防対象にすべきと考えていますので、結論としては妊娠させない場合には中性化手術を行うほうが

よりメリットが大きいと思います。

妊娠・出産を経験させる場合、今度は生まれた子供の飼主をどうするか、家で前頭飼えるのか、などの問題も出てきます。

このことに対して対策を持ってから妊娠は計画することが望ましいと思います。

 

以上、大まかですが中性化手術に対する僕の意見とメリット・デメリットについて書かせていただきました。

 

中性化手術をお考えの飼い主様の判断材料になれば幸いです。

 

それではよろしくお願い致します。

 

小野寺動物病院 院長 小野寺史也

 

ワクチンについて

2012年7月8日

おはようございます。今日はワクチンについて書こうと思います。

 

先に要約を書きますと

・狂犬病ワクチンは毎年の接種、届け出、鑑札装着までが定められた義務である。

・混合ワクチンは生後約2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、16ヶ月に接種する。

・16ヶ月のワクチン接種後は3年またはそれ以上間を空ける。

・中央区は都市部なので、コアワクチンの接種(狂犬病+5種混合)で十分と考えている。

 

 

病原体への抵抗力をもたせるための薬品をワクチンといいます。

ワクチンを接種することをワクチネーション、

ワクチンを接種する計画のことをワクチネーションプログラムと良います。

当院のプログラムは基本的に犬と猫のワクチネーションガイドライン – WSAVAに則っています。

(リンク先の更に要約されたものはこちら[WSAVA辻本 元]です。)

更に要約すると「生後8から9週に開始し、14から16週までの間に、3から4週ごとに接種する。1歳齢時に再度接種し、その後は3年またはそれ以上の間隔で再接種していく。」ということです。

 

ワクチンには不活化ワクチンと生ワクチンがあります。

不活化ワクチンとは病原体の感染力を完全に失わせたもの、生ワクチンとは病原体の病原性を失わせたもののことです。

混合ワクチンとは不活化ワクチンと生ワクチンが混ざっているワクチンのことで~種混合ワクチンといわれます。

ちなみに狂犬病ワクチンは不活化ワクチンです。

 

不活化ワクチンの接種後の1週間、生ワクチン接種後の4週間は他のワクチンを接種してはいけません。

これは生ワクチン接種後のしばらくの間は、ウイルスを警戒する物質が体の中を漂うためです。

この物質が次に入ってきたウイルス体をすばやくやっつけてしまうためワクチンの効果が得られない可能性があるためのインターバル期間です。

 

混合ワクチンと狂犬病ワクチンは同日に接種が可能です。(接種する部位を変える必要はあります)

これは人間の場合では推奨されている方法ですね。良ければリンクから確認してみて下さい

そもそも混合ワクチンが不活化ワクチンと生ワクチンの混合物なのだから、もう1種不活化ワクチンが増えてもあまり差異はありません。

ただし同日接種した後にアレルギー反応があった場合、どちらが原因かはっきりとは判断できなくはなります。

しかし生まれ年の場合は同日接種しないと法律の定める「90から120日齢の間の接種」がしにくい面もありますね。

 

「アレルギー反応」を書いたのでワクチンアレルギーについても書いておきます。

アレルギー反応はその原因物質の違いから4種類(ⅠからⅣ型アレルギー)に分類されます。

このうちごく短時間(接種後20分で最大)のものを即時型、それ以降のもの(1から72時間)を非即時型もしくは遅延型と呼びます。

アナフィラキシーショックは即時型の代表で、経験上接種直後から5分以内に最大で発生します。このため当院では接種後20分は必ず病院内にいてもらっています。

非即時型の代表的なものは顔面浮腫、掻痒、結膜炎、疼痛で、経験上4から12時間の間に多く見られます。このため当院では午前中のワクチン接種を推奨しています。

(非即時型アレルギーを発症するのが夜中になるのを避けるためです)

9年前の日本小動物獣医師会の調査では,犬にワクチンを接種すると約200頭に1頭で何らかの副作用が見られており,約3万頭に1頭が死亡しています。

 

ワクチンの分類には先に書いた「ワクチン製剤の種類」の他に「そのワクチンが重要か否か」があります。

重要なワクチンをコアワクチンといい、生活環境にかかわらずすべての犬・猫が接種すべきと考えられているものです。

犬では狂犬病、犬ジステンパーウイルス感染症、犬パルボウイルス感染症、犬アデノウイルス感染症1型2型です。

猫では猫汎白血球減少症(猫のパルボウイルス感染症)、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症です。

ノンコアワクチンとは地域や生活スタイルによっては感染リスクが高い場合にだけ用いるワクチンです。

犬ではレプトスピラ菌感染症,パラインフルエンザウイルス感染症など、

猫では猫白血病ウイルス感染症,猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ),クラミドフィラ・フェリス感染症などがあります。

 

ねずみが特に多い地域であればレプトスピラ菌感染症のワクチン接種も考慮されます。(ノンコアワクチンの接種は年1回です)

 

以上がざっくりとしたワクチンの話です。

 

以下が具体的なワクチンの話です。

 

◯狂犬病ワクチンの接種

狂犬病ワクチンの接種は義務ですので毎年接種する必要があります。

中央区では3月1日の接種から次年度の接種とみなされるため3月から6月の間に接種しましょう。

ただし以前の接種後に体調が悪くなったことがある、慢性疾患で継続的に服薬している、15歳を超える超高齢犬である、などの場合には獣医師の判断で接種を猶予できる場合があります。

内服中のお薬がある場合などご相談ください。

 

◯当院のワクチネーションプログラムについて

○ワンちゃんの場合:午前中に来院、接種してください。
接種日推奨日齢は生後50日目、90日目、120日目です。(覚えやすくするために2ヶ月目、3ヶ月目、4ヶ月目と表記する場合が多いです。)

ワンちゃんの場合、90日でのワクチン接種では有効率が70%位ですので120日でのワクチン接種をおすすめしています。

当院でおすすめしているワクチンは共立製薬のキャニバック5です。5種以上のワクチンは通常備蓄していませんのでご希望の際は事前にご連絡下さい。

初年度の最後のワクチンから1年後に、再度ワクチン接種の必要があります。ただ1年目のワクチンを接種した後からは当院では3年に1回のワクチン接種を推奨しています。詳しくはご質問下さい。

 

○ネコちゃんの場合:午前中に来院、接種してください。

接種日推奨日齢は生後60日目、90日目、120日目にワクチン接種を行います。

猫の場合、90日でのワクチン接種で有効率は80%位ですので完全屋内飼い、他の動物との接触がない場合には90日で終了とする場合があります。

当院でおすすめしているワクチンは共立製薬のフェリバック3です。3種以上のワクチンは通常備蓄していませんのでご希望の際は事前にご連絡下さい。

ただし、ネコちゃんが家族になる理由の2番目は拾得ですので、拾得の場合は早めの接種をおすすめするとともに、いるのであれば先住のネコちゃんへの接種もおすすめします。また、外にいたネコちゃんは往々にして外部・内部寄生虫を持っていることがありますので先住の子と会わせる前には必ず健康診断を受けてからがおすすめです。

初年度の最後のワクチンから1年後に、再度ワクチン接種の必要があります。ただ1年目のワクチンを接種した後からは当院では3年に1回のワクチン接種を推奨しています。また、ネコちゃんでのワクチンは悪性腫瘍になる場合がありますので当院では太ももの皮下か腹部の皮下に接種します。詳しくはご質問下さい。

 

以前にワクチンによる副反応(副作用)が出た子に関しては、ワクチン接種前に薬を注射することで副反応を弱めることが可能です。

(必要に応じて提案します、が、ワクチン接種自体をすすめなくなることがほとんどです。リスク回避のためにリスクを負う必要はありません)

 

ワクチン接種前の注射につきましては事前にご相談いただくか、早い時間に来院されてください。

 

よろしくお願いいたします。

 

小野寺動物病院 院長 小野寺史也