グレインフリー、グルテンフリーフードは「体に良い」のか?

2018年8月16日

現在「当院の考え方」に掲載用のトピックスを書いているのですが、「これは勘違いしやすそうだなぁ」と感じたことを先行して投稿してみます。

例によって結論を先に書きますね。最も伝えたいことは

・飼い主様が与える食事によって動物の寿命が変わる可能性が極めて高いので、真剣に考えてあげて下さい。

ということですね。

本トピックスの要約は

・イヌと、おそらくネコには炭水化物の給餌は推奨されていない。

・ペットフードには炭水化物の表示義務のみがなく、ほとんどのフードでは想像以上に炭水化物が多い。

・炭水化物率=粗炭水化物=粗タンパク質-粗脂肪-粗繊維-粗灰分-水分。

・グレインフリーは「特定の穀物が不使用」なのであって、炭水化物量が少ないわけではない。

・グルテンフリーは「穀物由来のタンパク質が不使用」なのであって、使用穀物量が少ないわけではない。

・「動物のための食餌」とグレインフリー、グルテンフリーは必ずしもイコールではない。

・フードに整形した時点で細胞の形状は失われていて、食物そのままであることはありえない。

ということです。

 

まず、イヌの推奨食餌許容量(小動物の臨床栄養学より)を記載したいと思います。

ずいぶん古い教科書なので最近改定されている可能性があります。もしかしたら近日中に変更するかも知れません。

単位はg/kg/day、体重1Kgごとに1日何グラムが推奨されるか、です。

ただし水分+タンパク質+脂肪の合計が97と100にだいぶ近いのでほぼイコール(≒)%と考えても問題ありません。

代謝可能エネルギー・・1kg当たり65(kcal)

●水分(ml)・・・・・・1kg当たり65(ml)

●タンパク質(g)・・・・1kg当たり24(g)

●脂肪(g)・・・・・・・1kg当たり8(g)未満

カルシウム(mg)・・・1kg当たり100(mg)

リン(mg)・・・・・・1kg当たり75(mg)

ナトリウム(mg)・・・1kg当たり25-50(mg)

カリウム(mg)・・・・・1kg当たり55(mg)

マグネシウム(mg)・・・1kg当たり15(mg)

鉄(mg)・・・・・・・・1kg当たり1.4(mg)

銅(mg)・・・・・・・・1kg当たり0.1(mg)

亜鉛(mg)・・・・・・・1kg当たり1(mg)

ヨウ素(mg)・・・・・・1kg当たり0.015(mg)

ポイントは炭水化物が推奨されていない、ということとタンパク質と脂肪の比率がだいたい3対1ということでしょうか。

 

ペットフードの話に戻りますね。ペットフードの配合をご存知でしょうか?

お手元のフードにはこう書いてあるでしょう。粗蛋白~%以上、粗脂肪~%以上、粗灰分~%以下、粗繊維~%以下、水分~%以下。

気づきましたか?「炭水化物」入っていないんです。

法律で内容成分全ての表示義務が発生した今でも「炭水化物だけ」表示義務がないんです。

どうしても表示したくないのかな?って思っちゃいますよね。個人的には。

日本食品分析センターによれば、粗炭水化物=粗タンパク質-粗脂肪-粗繊維-粗灰分-水分とのこと。引き算で出るんです。

つまり、フードの裏に書いてある%を合計して100から引けば炭水化物の最大配合率が出るんです。

 

ちょっと話がずれて、昨今話題のグレインフリー、グルテンフリーのフードについて。

グレインフリーとは「穀物不使用」であること、グルテンフリーとは「穀物由来のタンパク質不使用」のことです。

「肉食獣の食餌で穀物が入っていないなら、残りは肉が主体なんだろうな」

「穀物由来のタンパク質が入っていない食餌なら、残りは肉が主体なんだろうな」

そう思った人は、見事に勘違いしているの気をつけて下さい。

とあるグレインフリーで、動物性タンパク質の由来率が53%のフードがあったとします。

「お、半分以上が動物由来なんだ」と思った人はやはり勘違いしやすいと言えるでしょう。

「53%が動物由来」なのでなく「47%が植物由来」なのです。

ちなみにタンパク質の割合は28%です。(53%に騙されないようにしましょうね!)

そしてこのフードは粗タンパク質-粗脂肪-粗繊維-粗灰分-水分の合計が58.5%%なので最大炭水化物含有量が41.5%が炭水化物です。

 

とあるグルテンフリーのフードがあります。

粗タンパク質、粗脂肪、粗繊維、粗灰分、水分の合計が46%ですので、最大炭水化物含有量は54%にも登ります。

 

グレインフリーもグルテンフリーも、

「これを使ってないとは言ってるけど、炭水化物が入っていないなんて言ってない」という商品であるようです。

個人的にはグレインフリーやグルテンフリーは「アレルギー体質の動物」や「アレルギーの可能性のある症状がある動物」に使用を考えるもので

あって、「体にいいものを食べさせたい」という希望に合致するものでは必ずしもないと思います。

僕の中の位置づけは除去食に近いですね。

明確な除去食でないので病院で処方するものよりは全然信用していませんが。

 

「イヌは肉食だから穀物をあげるべきではない。だからグレイン(穀物)フリー(不使用)が体にいいんだ!」という仮定のもと「グレインフリーペットフードを与えましょう」と

語っておいて、グレインでないものから採取した炭水化物が入っているのであれば筋が通らないと思います。イメージ戦略の匂いを感じます。しかもプンプンと。

 

大体、アレルギーの原因物質ランキングは

1位:牛肉

2位:乳製品

3位:鶏肉

4位:小麦

5位:鶏卵

6位:とうもろこし

なのです。(調査した集団によって順位は変動します。ご了承下さい。)

…あれ?穀物1/3じゃない?まぁほぼ同率6位に大豆が入っているんでこれも一種の印象操作ですが(笑)。トップスリーは肉関係なんですね。

じゃあお肉を減らすべき…ではありません。アレルギーの原因物質については、アレルギーを疑う症状が出てから考えましょう。

 

ここで、ペットフードがどのように作られるかについて書いてみます。(あくまで僕の知る限りですが)

・いくつかの食材の種類に分類し、水分を加えて煮る。

・分類された食材群ごとに破砕して均一化する。※ここまでの工程を「レンダリング」といいます。

・所定の比率に混ぜ合わせ、再度均一になるように練る。必要であれば食品添加物を加えて練る。

・ペットフードの形に整形し、脂溶性ビタミン(と主に香料)を含んだ油脂を噴霧し乾燥させる。

・重さを計測し、袋詰して出荷。

 

簡単に言うと「原型を留めないくらいに煮て練って、必要な栄養素を加えたもの」がペットフードです。

一方動物ないし植物細胞は消化を受けても細胞形態を保っている場合があります。

その細胞も消化が進めば崩れていくのですが、細胞形態が崩れるのに時間差があるためより自然な消化吸収が出来るのです。

 

それでもペットフード単独じゃないと都合が悪い…という飼い主様にはオリジンジャパンのオリジンオリジナル(犬)、オリジンレジオナルレッドキャット(猫)がオススメできます。

あ、病院にいらしても置いてはいませんよ。僕は「原材料が安全なフードと人用食肉の併用」が最もおすすめですので。シリアルだけの食餌とか超勘弁ですよ(笑)

ただ僕としては「せっかく新鮮な肉が流通に乗って身近にあるのだから」と思います。与えているペットフードと同量~倍量のお肉を与える方法を推奨しています。

 

質問などがありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。よろしくお願いいたします。

 

小野寺動物病院 小野寺史也

住吉神社例祭ですね

2018年8月4日

今日も今日とて、外に出た瞬間にむせそうなほど暑いですね。院長の小野寺です。おはようございます。

 

今日から佃・月島地域では3年に1度の「住吉神社例祭」が執り行われます。

お神輿が町内を練り歩くのは派手で楽しみですね。

ただ、お神輿の進行中は車での移動が難しくなります。

 

お車でお越しになる予定の飼い主様は、運転にお気をつけて下さい。

 

さて、うちでも水をかける準備をしましょうかね。

それでは。

 

小野寺動物病院 小野寺史也

本年処方のモキシハート(フィラリアのお薬)について

2018年5月22日

過ごしやすい気温が続き、たまにある暑い寒いが煩わしい院長の小野寺です。おはようございます。

 

先日、ワンちゃんに処方しているフィラリアのお薬「モキシハート」について、使用期限が切れているのではないかとのお問い合わせをいただきました。

シート状に分包されたお薬の表記に7BA/`2011と書いてありました。

なるほど、確かに製造年もしくは使用期限が2011年だと解釈しやすい表記です。

 

もちろん使用期限切れの薬を処方していることはありません。

箱の方の使用期限は2020年11月と書いてあります。

 

おそらくですが西暦表記シモ2桁と月の表記を合わせての「2011」なのだと思います。

今年限定の間違えやすい表記ですね。とりあえず、お薬を作っている会社には指摘しておきます。

ちなみにですが、同じ目的の別のお薬では202011と表記してあるので勘違いはまず起きないと思いました。

 

それでは!

 

小野寺動物病院 小野寺史也

4月も中旬になりました。診察予約と予防のお話。

2018年4月8日

時間の流れが早いなあと痛感する、半引きこもり生活をしている院長の小野寺です。こんにちは。

またまたブログ更新がのびのびになってしまい申し訳ありません。

 

最近は病院のgoogle更新を定期的に行っていたため、更新したつもりになってしまっていました。

また、僕は病院にいらっしゃってくださった飼い主様や患者さんを題にすることを良しとしていないためネタがないのも一因です。まぁ最大の原因は僕が筆無精なだけなんですが(笑)

 

病院の私事なのですが、そう遠くない将来にホームページの画面を刷新した上でスマートフォン対応にします。

視覚的にも直感的にも操作しやすくするつもりですので更新後に感想などいただけると幸いです。

 

また、病院の看板を長く大きくした上で、もともとの看板を道路側に設置しました。

(これで「近くまで来たけど病院が見つけられない」という意見が減ることを期待しています。奥まったところにあるのは事実ですしね…)

 

 

また、最近頻繁に見かけるのですが土日の予約が1週間前に埋まることが多く感じます。僕としては最大限多くの動物の診察をしたいと思っていると同時に飼い主様をお待たせしたくない

ので現状の予約優先診療を変えるつもりはないのですが…。過剰な混雑にならないよう、診察が必要な症例を弾くことがないような診療形態を今後も模索したいと思っています。

ここで一つアナウンスなのですが、当院はいわゆる「完全予約製」では決してありません。

予約の枠がないとしても来院していただければ必ず診察させていただきます。しかし診察に絶対に必要な検査や時間は短縮する術がありませんので何卒ご了承ください。

端的に言いますと「予約枠が取れていないと診察状況によってお待たせしますが怒らないでくださいね。待っててさえくれればしっかり診察しますんで」ってことです。

 

予約枠の空きがなく、でも診察の必要がある場合は病院にご一報の上で速やかに来院されるのが「最も早く診察を受ける手順」です。

事前の連絡がない場合、来院が同時であっても連絡のある方が優先になってしまいますので。ただし重症度が明らかに違う場合は順番を変更します。

また、生命の危機が差し迫っている場合にはその限りではありません。極力速やかに来院されてください。

 

なんかダラダラ書いてしまい申し訳ありません。「受診にあたっての注意」とでも題して新ホームページに貼り付けるようにします。

 

…とここまでが診察予約のお話です。以下が予防に関してです。

 

 

ここからの話は「東京都中央区で生まれ育って37年、開業して6年の犬猫専門小動物臨床獣医師のいち意見」と思ってください。

決してフィラリア症予防やノミ・ダニ症予防を軽視するつもりはありません。

開業してからフィラリア感染陽性の犬は何件も診ましたが、そのいずれもは東京以外の県で感染しシェルターに入っていた動物です。

少なくとも当院で検査した全動物で、都内で新規感染した子はいません。

フィラリアは蚊を媒介して感染する寄生虫症ですがフィラリア陽性犬の血を吸った蚊のみが媒介します。

東京都内にいるフィラリア陽性犬がごく少数であること、蚊に吸血される機会が少ないこと

(散歩時以外は屋内にいる、就寝も屋内である)により都内ではフィラリアはほぼ根絶状況であると言っていいでしょう。

ただし前述したようにある日隣のお家にフィラリア陽性の子がやって来る可能性が

ありますので他の犬とよくすれ違うようなコースを散歩している場合には「念の為」予防するのもありだと思っています。

しかしここでもう一つ陥りやすい誤解について説明します。

それは一隻(いっせき、寄生虫の数単位です)に感染したとしても寿命に影響はなく、感染源であるミクロフィラリアも産まないということです。

線虫類は生物学的には高等動物ですので性別があります。よって交配出産が必要です。

すなわち1隻しかいない場合は体内に居候しているのみでほぼ無害です。

フィラリア虫が重大な症状を出すのは10隻を超える濃厚感染した場合のみです。(隻数は動物の心臓の大きさ、正確には肺動脈の太さに依存しますので一概には言えません)

ですので犬フィラリア症を起こすような濃厚感染をさせない最も有効な手段は「蚊に刺されないようにする」ことでこれは皆さんすでに実践しています。「犬を屋外で寝かせない」ことです。

たまたまフィラリア虫を持っている蚊に刺される可能性は低いのにフィラリアが広まる最大の理由は「感染している動物の血を吸った蚊がまた同じ動物を吸血する」のほぼ一択なのです。

 

動物病院であまり意味のない薬を買うことで散財するよりは貯めておいて誕生日に美味しいお肉をあげたほうがよほど有意義だと思います。

 

ただ、ノミやマダニは感染例が結構きますんで予防してあげてください。

当院では皮膚刺激性の弱い薬剤(プラクティック)を採用していますのでご希望があればお出ししています。

もちろん飼い主様がネット通販で購入していただいても構いません。ただ、当院経由で購入していないものに関しては返品や助言はできかねますのでご理解ください。

(ネット通販は僕ら獣医師の購入価格とほぼ同額で販売されているため金銭面ではとても太刀打ちできません。

まぁ太刀打ちするつもりもないのですが(笑)僕は単純に寄生虫のせいで動物が痒いとかお腹が痛いとか辛いとかの不利益を被らなければそれでいいと思っていますので。

ちなみにですが当院で処方した薬であれば返品返金は可能です。念の為。)

ただ前述したように僕は都内におけるフィラリア予防の必要性を疑問視していますので「この一錠でフィラリア、ノミ・ダニ、内部寄生虫全部駆除できます」という薬剤が嫌いです。それは獣医師と飼い主の都合

であって、動物の体のことを考えていないように感じてしまいます。考えていないは言いすぎかもしれませんが、少なくとも後回しです。

飲まなくていい、体に負担をかける薬を飲ませるという行為に強く嫌悪感を覚えます。

 

生活環境によって必要な予防は異なると思います。ただ、数回間違ってしまっても問題ありません。

そのために獣医師がいますのでご不安なことがあればご相談ください。

 

よろしくお願いいたします。

 

小野寺動物病院 小野寺史也

ワクチン接種・フィラリア駆虫・ノミダニ予防について

2018年2月16日

2月も中頃となり、少しだけ寒さも和らいできました。

真冬用の着衣だと少し暑いし、冬用だと寒い場面もあり…で出かける際に少し悩むことが多くなった、

小野寺動物病院院長の小野寺史也です。おはようございます。

 

ただいま準備中なのですが、今年もワンちゃんの飼主様にお送りするハガキを用意しています。

(また今月とは限らないのですが、今年からコちゃんの飼主様にもお送りしようと思っています。

内容はワクチンの接種年をご確認いただくのと、健康診断の目安をお知らせするものになるかと思います)

 

ハガキの内容は

①狂犬病ワクチンの接種を3から5月にお願いする旨。

②外出するワンちゃんで、必要があると思われる場合には5月からフィラリア駆虫薬を開始する旨。

③外出するワンちゃに5月からノミ・ダニ予防薬を開始する旨。

④1歳半以上のワンちゃんで、前回の混合ワクチン接種から3年以上経過している場合には再度のワクチン

接種をお願いする旨。前回の接種年が不明の場合には病院におたずねいただきたい旨。です。

 

<補足>

①狂犬病ワクチンの接種は現行法でもっとも重要な「義務」にあたります。延期する事由がない場合、

可能であれば5月までの接種が必要です。ただし治療中の疾病がある、以前のワクチン接種で有害事象が

認められた、十分な老齢である、などの事由がある場合にはワクチン接種を猶予できる場合があります。

詳しくはお尋ねください。また、当院では狂犬病ワクチン接種済鑑札札の申請代行は行っていません。

ワクチン接種後、各地域の保健所に申請頂く必要がありますので予めご了承下さい。

 

②基本的に僕は中央区でフィラリア症にかかること、特に重症化することがあるとは考えていません。

フィラリアがいるワンちゃんでも、しっかりと駆虫されていれば感染源にはなりませんが全てのワンちゃんが

されているとは限りません。そこで当院では

・散歩に出ない、出ても近所だけのワンちゃん→予防の必要はとても低い。

・人気のコースを散歩するワンちゃん→予防の必要はまあまあ。

・ドッグランに行ったり東京都外に出かけるワンちゃん→予防の必要は高め。

…として、飼主様と相談して処方するかを決めるようにしています。

 

③ノミやダニは、散歩に出るワンちゃんは感染する可能性があり、感染してから気づかれるまで時間がかかってしまう

場合があるため予防をお願いしています。もちろん出かけない場合には必要ありません。

当院では皮膚への刺激性が比較的低いプラクティックスポットをまずおすすめしています。ただし内服したほうが

メリットが多い場合のために内服薬も用意してありますのでご相談下さい。

(当院ではネクスガードは取り扱っていません。理由としては前述しましたように全部のワンちゃんにフィラリア駆虫の

必要があるとは考えていないからです。)

 

④当院では世界小動物獣医師会(WSAVA)の提言にそって、成犬成猫の混合ワクチンは3年以上接種間隔をあけるように

提案しています。今年接種すべきかどうかをご質問いただければお答えできますのでお気軽におたずねください。

また、ホテルやサロン、ドッグランを利用するにあたって1年以内の接種の必要がある場合には接種可能ですので、

こちらについても必要であればご相談下さい。

 

これら予防医療について僕は「必要最小な物を、必要最低限使って予防すべき」と考えています。

何が最小に当たり、どれぐらいが最低限になるかは生活の仕方によって異なりますのでご相談下さい。

 

よろしくお願いいたします。

 

小野寺動物病院 小野寺史也